児童相談所の「一時保護」と「乳幼児ゆさぶられ症候群」に関する質問主意書

提出議員 : 奥野 総一郎

児童福祉法第33条に基づく児童の「一時保護」は、保護者による虐待から、児童の生命、安全を守るための措置である。厚生労働省の「こども虐待対応の手引き」によると、「一時保護」執行の前提となる「虐待の有無」は、「乳幼児ゆさぶられ症候群(以下、SBS)」が確認されるかどうかが1つの判断基準となっている。し…

児童福祉法第33条に基づく児童の「一時保護」は、保護者による虐待から、児童の生命、安全を守るための措置である。厚生労働省の「こども虐待対応の手引き」によると、「一時保護」執行の前提となる「虐待の有無」は、「乳幼児ゆさぶられ症候群(以下、SBS)」が確認されるかどうかが1つの判断基準となっている。しかし乳幼児頭部外傷が虐待によるものどうかの判断は、児童相談所の勤務医でも難しいとされている。SBSを「虐待の有無」の判断の1つとすることと「一時保護」のありかたを政府はどうとらえているのだろうか。

  • 「子ども虐待対応の手引き」では硬膜下血腫を負った乳幼児にはSBSを第一に考える事、SBSの疑いがあれば安全確保のために保護を行う事としている。しかし欧米の研究や日本弁護士連合会は「硬膜下血腫の兆候がSBSによるもの」という理論を疑問視したり、この理論が冤罪を作り出すとして警告を発している。政府として手引きの記載は適切であると考えているのか。 安全確保のための保護は必要以上の保護とはならないのか。 また、SBSとの関係から保護されたケースについて、直近5年間の異議申し立てと訴訟件数および、その中で異議申し立てと原告の訴えが認められた件数は、それぞれ何件あったのか。

  • 2か月を超えて保護する場合、都道府県児童福祉審議会で意見聴取を行わなければならない。直近5年間で開催された意見聴取件数とその中で「保護の必要なし」と判断された件数は何件あったのか。2か月を超えて一時保護されるケースについては、それが適正なのかを確認するべきではないか?

  • 多くの都道府県児童福祉審議会は非公開であって保護者にも議論の内容開示はない。政府はこのことをどうとらえているのか。また2017年に児童福祉法と児童虐待の防止等に関する法律の一部が改正され、都道府県児童福祉審議会の代わりに家庭裁判所が審査を行う事となった。家庭裁判所が審査を行う理由は何か。

  • 「子ども虐待対応・医学診断ガイド」では、「硬膜下血腫・網膜出血・脳浮腫の3主徴がみられ、高位落下や交通事故等でなければ、SBSの可能性が極めて高い」、「硬膜下血腫とSBSに特徴的とされる眼所見があればSBSである可能性が極めて高い」などと、硬膜下血腫がSBSの可能性が高い特徴的な所見の1つとして、共通して記載がある。 また児童福祉法では、児童の安全のための適切な保護と状況把握のため一時保護ができるとの記載があり、児童の安全を確保し適切な保護を図り、虐待の有無については調査と診断を行い、総合的に判断するべきである。これらの観点から「子ども虐待対応の手引き」の記載は適切であり、現時点で見直しは考えていない。
    なお、保護に対する異議申し立ての件数は把握していない。

  • 直近5年間の件数は把握していない。2016年9月に厚生労働省が都道府県等に行った調査によると、2016年4月から7月までの4か月間で、2か月を超えて引き続き保護する場合に行われる児童福祉審議会への意見聴取件数は197件で、このうち審議会で延長が認められなかったものはない。 また、2か月を超える保護が親権者等の意に反する場合、児童福祉審議会で意見聴取を行っていることから、一時保護は適正に行われていると考えている。

  • 児童福祉審議会の審議内容は、各都道府県等がその内容に応じて公開の是非を適切に判断している。また、家庭裁判所が審議を担うことになった理由は、一時保護の一層の適正性を担保するためである。

@TONOさん3号

2021/06/05

一時保護は子供の肉体を守るという観点ではやむを得ないと思う。疑わしく別の所見も考えられる状況でもしかたがないのかな? ただ親等から何日も何週間も引き離され会えないというのはどうかと思う。手続きを踏んで面会は最低限させるべきだと思う。 例え見るからに虐待しそうな外観があっても。こと親子関係は案外人は見かけによらないから。

 詳細情報

質問主意書名 :児童相談所の「一時保護」と「乳幼児ゆさぶられ症候群」に関する質問主意書 
提出先 :衆議院
提出国会回次 :196
提出番号 :103
提出日 :2018年2月28日
転送日 :2018年3月5日
答弁書受領日 :2018年3月9日

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