原発廃止・エネルギー転換を実現するための改革基本法案

出典:資源エネルギー庁HP
賛成 (1)
反対 (2)

提出議員 :長妻 昭

2018年3月に、立憲民主党・共産党・社民党・自由党の野党4党によって、原発廃止・エネルギー転換を実現するための改革基本法案が衆議院へ提出された。

しかし、2年以上経過した現在においても、審議にすら至っていない。法案の内容や審議拒否の理由を解説する。

2018年3月に、立憲民主党・共産党・社民党・自由党の野党4党によって、原発廃止・エネルギー転換を実現するための改革基本法案が衆議院へ提出された。

しかし、2年以上経過した現在においても、審議にすら至っていない。法案の内容や審議拒否の理由を解説する。


法案制定の背景

本法案の制定は、2011年3月に起きた東京電力福島第一原子力発電所の事故が契機になっている。この事故によって多数の住民が避難を余儀なくされ、放射線物質による汚染は健康上の問題も生じさせるなど甚大な被害がもたらされた。事故の原因は自然災害だが、原子力発電の危険性を認識していながら許容してきた国の政策にも落ち度があるといえよう。

第二次世界大戦で原爆の脅威をまざまざと見せつけられたにも関わらず、原子力基本法を制定し、平和的利用の名のもとに原子力発電を押し進めてきた。被ばくや処分方法の問題など安全性に関しては盤石と言えない中、原子力発電が許容されてきたのは、経費が安価・二酸化炭素を放出しないといった原子力発電のプラス面を考慮し、マイナス面に目を向けなかったためである。

東日本大震災で原発の危険性が身に染みた今日、今までの国の政策が誤りであったと認め、脱原発を達成するエネルギー需給体制を再構築する必要に迫られている。


法案の内容

原発廃止・エネルギー転換を実現するための改革基本法案の内容を、端的に表すと以下の通りだ。

  • 全ての原子力発電を停止し、5年後には廃炉とする
  • 電気の需要量を、2030年までに2010年時点の100分の30に相当する量を減少させる
  • 2030年までに再生可能エネルギーの利用を40%増加させる

重要なのは、電気の安定供給の維持も達成しなくてはならない点だ。2019年の原子力発電の割合は全体の6.5%を占める。エネルギーの合理化等により電気の需要量を削減すること・代替エネルギー源として火力・水力といった再生可能エネルギーの供給を増やす算段だ。

また、本法案ではこれまで原子力を推進してきた国の責務についても追雄している。「国は、社会的責任を考慮し、原発廃止・エネルギー転換を推進すべき責務を有する」と規定。具体的には、電気事業者が廃炉の作業を行う際は、損失を補填しなくてはいけないと述べている。

更に、原発廃止・エネルギー転換改革を総合的・計画的に行うため、内閣に改革推進本部を設置する旨も記載する。本部は、この法律の施行後1年を目途に「原発廃止・エネルギー転換改革推進計画」を定めなくてはいけない。


法案が審議にかけられない理由

原発廃止・エネルギー転換を実現するための改革基本法案は衆議院に提出されたが、2年以上経過した現在に至るまで、一度も審議されていない。

理由は原発の再稼働を推進する政府の考えと対立するため、与党が審議を拒否しているからだ。安倍首相は「原発ゼロは責任あるエネルギー施策といえない。地元の理解を得た原子力発電所から再稼働を進めていく」と2019年国会で語っている。

与党のこの姿勢に対し、立憲民主党の菅直人元首相は「自民・公明が審議拒否して、葬り去ろうとしている。」と、枝野代表は「審議する時間は十分にあった。事故を経験した国の国会としてあまりにも無責任だ。」と、それぞれ痛烈に批判している。

通常、野党提出法案は政府提出法案の後に審議される。しかし、2018年6月の国会では他に審議する案件が無かったにも関わらず、自民党は委員会開催すら応じていない。はたして与党・政府は本当にこのまま原発ゼロ法案を「闇に葬る」つもりなのか、見どころである。

最新の賛成コメント

@kimuu

2020/08/27

結局、原発を使わなくてもエネルギーは何とかなってるんですよね。必要ない巨大ごみを大量に作ってしまったとしか…

最新の反対コメント

@ichi369

2021/02/21

現時点で原子力は必要ない。電力需給もひっ迫しているわけではない。議論すべきは、再生可能エネルギーの安定供給と、原子力廃炉の具体案といえる。野党は問題点を声高に叫ぶだけでなく、実現可能な具体案を示して、国民の共感を得た議論をして欲しい。

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@ichi369

2021/02/21

現時点で原子力は必要ない。電力需給もひっ迫しているわけではない。議論すべきは、再生可能エネルギーの安定供給と、原子力廃炉の具体案といえる。野党は問題点を声高に叫ぶだけでなく、実現可能な具体案を示して、国民の共感を得た議論をして欲しい。

@TONOさん3号

2020/12/24

原子力はもっと安全に使えるように知恵を、案を出すべき。研究を進めるべきと今は考える。石油に代わる効率の良いエネルギーが発掘、供給できるまではとの条件をつけてですげ。今の代替エネルギーが安全で環境に優しいかといえば決してそうではない。何かしらの環境を破壊しないと開発できないし安定供給にも至っていない。議論・審議をするのは良いのかもしれないが意味のある議論になるかも疑問です。

@kimuu

2020/08/27

結局、原発を使わなくてもエネルギーは何とかなってるんですよね。必要ない巨大ごみを大量に作ってしまったとしか…

 詳細情報

議案件名 :原発廃止・エネルギー転換を実現するための改革基本法案 
提出国会回次 :196
議案番号 :7
議案種類 :衆法
提出議員 : 長妻 昭
提出日 :2018年3月9日
公布日 :
法律番号 :