政治資金規正法及び租税特別措置法の一部を改正する法律案

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提出議員 :森山 浩行

立憲民主党などの野党は、政治資金規正法及び租税特別措置法の一部を改正する法律案を提出した。企業団体献金禁止法案とも呼ばれる本法案なのだが、いったいどのような内容なのだろうか。今回は、この法案の内容やメリット・デメリットをまとめてみた。


企業団体献金禁止法案のポイント

この法案の大きな柱は、①企業団体献金禁止②個人献金優遇税制の2つである。 利益を追求する企業や団体からの政治献金やパーティー券購入を禁止する一方で、個人が寄付をしやすくなるよう寄付控除の範囲を広げる。

企業から個人へ、大口から小口へ。私たち国民一人一人が政治に参加しやすくなるよう、政治資金面からアプローチしているのがこの法案だ。


廃止されるはずだった企業団体献金の問題点とは

まず、会社や労働組合、職員団体などの企業・団体からの「企業団体献金」の問題点から詳しく説明していこう。

現在の日本では、企業や団体からの政治家個人への献金は認められていないため、献金をしたいなら、政党や政治資金団体に対して行うのがルールだ。にもかかわらず、実際のところは、政党や政治資金団体に対しての寄付金が、政治家個人に流れてしまうことが問題視されていた。政党や政党の支部から個人の資金管理団体への寄付金の移動が可能なため、賄賂がまかり通っていたのである。

元々、企業団体献金は将来的に無くすと考えられていたものであった。1995年施行の改正政治資金規正法では、付則において「企業団体献金は5年後には廃止する」と謳っていた。これは国会議員の数や国政選挙での得票率に応じて国が政党に助成金を支給する政党交付金が開始されたため、交付金と政治献金をダブルで受け取る事態を防ぐためである。両方、受給できるとあったら、与党など影響力の高い政党が更に膨張してしまう。

しかし、実際は企業団体献金は長らく廃止することなく放置され、「政治とカネ」問題の温床となっていた。特定の業界団体や企業から多額の金を寄付されると、どうしても彼らに有利になるような政策や法案が提出されやすくなる。金がある者だけが得しないためにも、この度やっとのことで、企業団体献金禁止のため、政治資金規正法の改正の動きが出た。

個人が政治家個人へ寄付を行うことは禁止されていないため、政治家が指定する政治資金団体や後援会などの政治団体に対して寄付金が入り込む余地が残っているが、改正案では個人による寄付に関しても、以下のように上限規制が厳格化されている。

  • 政党及び政治資金団体に対して行う寄付:2,000万円
  • 政党及び政治資金団体以外の者に対して行う寄付:1,000万円

政治資金パーティー券購入の禁止

この法案では、政治資金パーティーに参加した企業や団体が会費を支払うことを禁止する。政治資金パーティーとは、政治資金を集めるために政治団体が開催する有料の催し物だ。政治資金パーティーに参加して、開催側に金銭を支払う行為も、政治献金と性質上は全く変わらないためだ。個人のパーティ券購入にも上限が規定され、150万円以上の支払は禁じられる。

政治献金や政治資金パーティーにおける対価の支払を行った企業や団体の役員や構成員は、1年以下の懲役、または50万円以下の罰金の処罰を受ける。

更に、雇用関係を背景に、企業や団体の構成員に対して、会費を支払う代わりに政治資金団体の構成員となるよう勧誘したり、寄付金や政治資金パーティー券購入を強要する行為も禁止される。


個人の政治活動における寄付金の税額控除の拡充

租税特別措置法を改正し、個人が政治献金を拠出した際に税額控除が受けられるパターンを拡充する。

まず寄付の対象を、都道府県議会の議員や知事、政令指定都市の議会の議員や市長の所属する資金管理団体まで拡充する。

また、寄付金に関して、年間「2千円以上1万円以下は全額控除」「1万円以上5万円以下は50%控除」「5万円以上は30%控除」とし、税金面でのメリットを増やしている。


今回の法案のメリット・デメリット

本法案のメリットとしては、個人から政党や政治資金団体への小口献金がしやすくなることが挙げられる。寄付の金額が少ない方が税額控除の率が高いという仕組みのため、全額控除となる1万円以下の寄付などは、特に活発化すると見られる。

現状、特定の企業や団体が莫大な資金力を利用して高額の寄付金を渡すことで、仕事をもらったり制度・法律的な優遇措置を受けたりと、まさに財政癒着と呼ばれる事態が蔓延している。企業団体献金を廃止し、個人の小口献金が活発化すれば、政治に対して有権者ひとりひとりの意志を反映させやすくなると期待できる。資金力が劣る個人でも政治へ参画しやすくなるのがメリットだ。

一方、デメリットとしては逆に、企業や団体の意向が政治に反映しにくくなる点にある。財政癒着はもちろん良くないが、企業や団体も法人として自然人同様、一定の権利を認められている以上、政治的行為をなす自由は存在すると考えられている。

企業・団体の政治献金を禁止することで、法人が政治的意思を表明する場を奪うことになりかねないのか?また、個人の立場にたっても、所属する企業や団体と政治的意志が合致していれば、企業献金はむしろ歓迎していた人もいるだろう。多様性を尊重した結果、従来恵まれた立場にあった者は一転、不利に立たされるのである。

最新の賛成コメント

@kimuu

2020/09/29

現状は、あまりにも特定の業界や企業に偏った政治ばかり目に入るので、この法案はぜひとも支持したい。

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@kimuu

2020/09/29

現状は、あまりにも特定の業界や企業に偏った政治ばかり目に入るので、この法案はぜひとも支持したい。

 詳細情報

議案件名 :政治資金規正法及び租税特別措置法の一部を改正する法律案 
提出国会回次 :197
議案番号 :2
議案種類 :衆法
提出議員 : 森山 浩行
提出日 :2018年11月22日
公布日 :
法律番号 :