公職選挙法及び地方自治法の一部を改正する法律案

賛成 (2)
反対 ()

提出議員 :森山 浩行

立憲民主党などの野党から、公職選挙法及び地方自治法の一部を改正する法律案が、衆院に提出されている。

本法案は「被選挙権年齢引き下げ法案」とも呼ばれており、公職に立候補できる年齢の引き下げが主たる目的だ。本法案の具体的な内容やメリット・デメリットをまとめてみたので、ぜひご一読いただきたい。

立憲民主党などの野党から、公職選挙法及び地方自治法の一部を改正する法律案が、衆院に提出されている。

本法案は「被選挙権年齢引き下げ法案」とも呼ばれており、公職に立候補できる年齢の引き下げが主たる目的だ。本法案の具体的な内容やメリット・デメリットをまとめてみたので、ぜひご一読いただきたい。


被選挙権年齢の一律5歳引き下げ

本法案は、衆院参院両議員・都道府県知事・都道府県議員・市長村長・市町村議会議員の被選挙権年齢を、一律5歳引き下げるという内容だ。現在、参議院議員と都道府県知事の被選挙権は30歳以上と定められているのが、25歳以上に変更となる。一方、衆議院議員や都道府県議会議員・市長村長・市町村議会議員の被選挙権は25歳以上なので、20歳以上に変更となる。

選挙に関する年齢制限の引き下げと言えば、一足先に、選挙権年齢の変更が行われている。2016年6月に改正公職選挙法が施行され、その後行われる国政選挙からは選挙権年齢が「満20歳以上」から「満18歳以上」に引き下げられた。若者の意志を国政に反映できる仕組みを構築し、投票率を上げる狙いがあった。実際に改正後の制度で選挙が何度か行われているが、投票率は思った以上に上昇していない。若者の政治離れ解消は、まだ先が遠いと見られる。


メリット①立候補者不足の解消

現在、特に地方選挙においてだが、立候補者不足が問題視されている。立候補者数が議員定数よりも少ないため、無投票で議員が選出されるという事態が頻発しているのだ。

被選挙権年齢を引き下げることで、立候補者不足の解消に寄与すると考えられる。2019年9月、全国の18歳~25歳を対象に行われた調査によると「被選挙権年齢が18歳に引き下げられたとしたら、あなたは立候補しますか?」という問いに対し、「今すぐ立候補したい」と回答した割合は2.7%にも及んだ。推計によると、数としては23万7,000人がすぐにでも立候補したいと考えているとのことだ。また、将来的に立候補したいと考えている人も、約45万人いると推定されている。2つの数字を合計すれば、70万人にものぼる。これだけの潜在的候補者がいれば、地方の政治の担い手不足が解消する可能性も高い。

<参考リンク>

NPO 法人Rights 若者の立候補意欲など政治意識に関する調査


メリット②若手の政治家が増える

政治家には世代の代表としての側面もある。若手の政治家が増えれば、20代・30代の意志を政策に反映させることができると考えられる。

日本は超高齢化社会を迎え、高齢者の数が多いため、どうしても医療や福祉・介護といった高齢者向けの政策が支持されやすい傾向がある。しかし、これから日本社会を作っていくのは、若者である。

コロナ禍で弱ってしまった日本を建て直すためには、若くて力があり、かつ柔軟な発想も出しやすい若手の政治家が必要である。また、若手の政治家が誕生することで、若者が陥りがちな政治的無関心を防ぐ期待ももてるだろう。

実際、被選挙権年齢が低いほど、若手の政治家が誕生しやすいというデータもある。IPUの調査では、21歳以下に被選挙権を与えている国では平均して3分の1が45歳以下の政治家で占められているとのことだ。今回の法案では参議院議員及び都道府県知事は21歳以下の水準には達していないが、その他の選挙では20歳以下としている。現状よりは若手の政治家が増えることが期待できるだろう。

<参考リンク>

被選挙権年齢を下げれば若手の政治家が増える?海外事例が教える被選挙権年齢引き下げのポイント


デメリット①政治的リテラシーが薄い候補者の政治参加

若年層への政治参加の機会が広がることで、リテラシーや政治的な知識が薄い人物が政治に参画するという事態が生じる恐れもある。年齢が高い=知識があるというわけではないが、日本では政治教育が不足しているため、若者が政治的リテラシーが薄い傾向にあるのは確かだ。

この点は、本法案の附則においても「若者が主体的に政治に参画できるようにするため、初等教育から高等教育の段階に至るまで、一貫した方針で政府主導の下、政治的教育を推進する」と述べられている。知名度や人気が高いというだけで政治に参加する者が出てきては、地域や住民・社会全体にとって、マイナスであろう。なるべきではない人物が公職につかないためには、政治的教育の充実が必須である。

デメリット②引き下げの幅が中途半端

今回の改正が実現しても、最低でも25歳にならなければ公職への立候補は不可能。選挙権は18歳から与えられるのに、被選挙権は25歳以上という状況は、依然としてアンバランスだと言える。世界に目を向けると、18歳から21歳を被選挙権の年齢とする国が全体の半数を占める。

改正後においても、日本の被選挙年齢は高いと言わざるを得ないだろう。ただ、附則の第3条では、改正後の状況に応じて更なる年齢の引き下げも行うと述べている。今回の年齢引き下げを恒久的な措置としないことで、今後の改正の余地も残しているのだ。

最新の賛成コメント

@restog

2021/05/12

現在の政治の恩恵を受けているのが、主に高齢者であるという状況を打開するために有効な法案だと思う。さらに、若者の投票率や政治への関心を高めるのにも役立つのではないか。

最新の反対コメント

まだ反対意見が投稿されていません。

すべてのコメント

@restog

2021/05/12

現在の政治の恩恵を受けているのが、主に高齢者であるという状況を打開するために有効な法案だと思う。さらに、若者の投票率や政治への関心を高めるのにも役立つのではないか。

@kimuu

2020/10/01

日本の政治家の年齢構成はあまりにも偏っていて不健全に感じます。被選挙権引き下げ法案には賛成です!もっと若者が積極的に政治に参加する風土に変化する一歩になりうると思います。

 詳細情報

議案件名 :公職選挙法及び地方自治法の一部を改正する法律案 
提出国会回次 :197
議案番号 :3
議案種類 :衆法
提出議員 : 森山 浩行
提出日 :2018年11月22日
公布日 :
法律番号 :