政治資金規正法の一部を改正する法律案

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提出議員 :森山 浩行

立憲民主や国民民主党などの野党は、政治資金規正法の一部を改正する法律案を衆院に提出した。この法案は収支報告ネット公開法案とも呼ばれ、政治団体が作成を義務付けられている政治資金収支報告書を一元的に閲覧できる仕組みを整え、また報告書の公表に関しても規定している。今回は、本法案の具体的な内容や、メリット・デメリットに関して解説する。

立憲民主や国民民主党などの野党は、政治資金規正法の一部を改正する法律案を衆院に提出した。この法案は「収支報告ネット公開法案」とも呼ばれ、政治団体が作成を義務付けられている政治資金収支報告書を一元的に閲覧できる仕組みを整え、また報告書の公表に関しても規定している。

今回は、本法案の具体的な内容や、メリット・デメリットに関して解説する。


政治資金収支報告書とは

法案の内容に入る前に、前提知識として政治資金収支報告書について説明する。

政治資金規正法第12条に、政治団体は毎年12月31日時点における当該政治団体の1年間の収支を記録した報告書を翌年3月31日までに、都道府県の選挙管理委員会または総務大臣に提出しなければならないと規定している。また、報告書を受理した都道府県の選挙管理委員会または総務大臣は、総務省令の定めにより、その要旨を公表しなければいけないとも定めている。原則として、提出された年の11月末までには公表する必要がある。

記載項目に関しては、全ての収入・支出において、総額と項目ごとの金額は記載しなくてはいけない。また、1件5万円以上の収支については、相手方の住所や氏名、当該取引の金額、年月日も記載しなければいけない。

政治資金集めを目的に政治団体が政治資金パーティーを行うことがあるが、場合によっては政治資金パーティーも収支報告書への記載対象となる。1回あたりの収入金額が1000万を越えるパーティーでは、会の名称・開催年月日・開催場所・収入の合計額・支払をした者などの情報を記載しなければいけない。また、パーティーの参加者において、同一の者から対価の金額が20万円を超える者にあっては、住所や氏名、金額、年月日なども記載する必要がある。


国会議員関係政治団体の収支報告を厳密化

今回の改正のメインは、国会議員関係政治団体に関係する内容だ。国会議員関係政治団体といっても、何を意味しているか分からない人もいると思われるので解説する。 国会議員関係政治団体の対象となるのは、以下の団体だ。

  • 国会議員にかかる公職の候補者が代表となる団体
  • 租税特別措置法第41条の18第1項第4号に該当する政治活動に関する寄付をした場合に寄付金控除の対象となる団体のうち、特定の国会議員にかかる公職の候補者を推薦し指示することを本来の目的とする団体

国会議員関係政治団体には、適正の確保と透明性の向上の観点から、収支報告に関する特例が規定される。特例の内容は以下の通りだ。

  • 全ての支出において領収書を徴収し、要旨の公表の日から3年間保存
  • 1件1万円以上の支出に関しては収支報告書に明細を記載し、領収書の写しも報告書に添付しなければいけない
  • 1件1万円以下の支出に関しても、情報公開の対象となる。

このように、国会議員関係政治団体は収支報告をより厳密に求められるのだ。


収支報告書の一元化・ネット公開

今回の法改正の具体的な内容に関して説明する。 総務大臣は、全ての国会議員関係政治団体から提出された報告書をインターネットを活用すること等により、それぞれの衆議院議員、参議院議員にかかる公職の候補者ごとに一元的に閲覧できる仕組みを整えなければいけないとしている。例えば、ある衆議院議員の名前で検索をかければ、現在から過去に至る全ての報告書が閲覧できるシステムの構築などが考えられる。

都道府県の選挙管理委員会においても、一元的に閲覧できるために必要な措置を講じるために、総務大臣に対して、総務省令で定める事項を通知しなくてはいけない。国を先行モデルに、都道府県側も制度導入の取り組みを進めていく必要があるのだ。

また、総務大臣及び都道府県選挙管理委員会に対して「収支報告書はインターネットの利用、その他の適切な方法を利用し、公開しなければいけない。」と義務付けた。現行制度は公表すれば良いとしているが、本改正では公表の方法にまで言及している。また、収支報告書の公表期間においても、原則最低3年間は公表する必要があるとしている。


今回の法案のメリット・デメリット

メリットは、収支報告書を一元的に閲覧できる仕組みを整えることで、収支報告の透明性が向上する点にある。収支報告書への記載漏れ等、収支報告に関する問題が顕在化する中、政治資金がどのような流れでどのような用途に使われたのか国民が知ることは民主主義の根幹を成す部分といえる。

デメリットは、インターネットを通じた報告書の公表が行われるため、個人情報漏洩のリスクも高まる点にある。ただ、附則では新法の施行状況を勘案し、必要があると認められた場合、施行後3年を目安として、個人情報保護の観点から改定が加えられるとも明記している。実態に応じて制度を改正していけば、個人情報漏洩のリスクに対してもうまく処理できるよう進化するとも考えられる。

最新の賛成コメント

@なんたん

2021/06/29

ネットで公表することで国民がわかりやすくなるので賛成です。 ただ改ざんはなくならないと思いますがが…。しっかり公表してる人はイメージ良くなりますね。

最新の反対コメント

@TONOさん3号

2021/02/10

政治資金の収支の透明化は行わないといけないが現時点でネット上に公表するのは反対です。あまりにも脆弱すぎる国のネット管理環境では何もかもが流出する恐れへの懸念が大きい。 書類できちんと保管して、厳正な手続きをして閲覧できる方法が良いのではないか?紙に書いたものって案外重宝するかも。 まあ管理費はかかるだろうけど。

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@なんたん

2021/06/29

ネットで公表することで国民がわかりやすくなるので賛成です。 ただ改ざんはなくならないと思いますがが…。しっかり公表してる人はイメージ良くなりますね。

@TONOさん3号

2021/02/10

政治資金の収支の透明化は行わないといけないが現時点でネット上に公表するのは反対です。あまりにも脆弱すぎる国のネット管理環境では何もかもが流出する恐れへの懸念が大きい。 書類できちんと保管して、厳正な手続きをして閲覧できる方法が良いのではないか?紙に書いたものって案外重宝するかも。 まあ管理費はかかるだろうけど。

@kimuu

2020/10/07

ハンコもそうですし、どんどん電子化して透明化すべきだと思います。国民側はきっちり確定申告してるわけですし。

 詳細情報

議案件名 :政治資金規正法の一部を改正する法律案 
提出国会回次 :197
議案番号 :4
議案種類 :衆法
提出議員 : 森山 浩行
提出日 :2018年11月22日
公布日 :
法律番号 :