国家戦略特別区域法の一部を改正する法律案

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提出者 :内閣:

いわゆる「スーパーシティ法案」ですが、法案の内容は実は大きく3つの内容に分かれています。 ①「スーパーシティ」構想の実現に向けた制度の整備 ② 地域限定型の規制のサンドボックス制度の創設 ③ 地域限定型の規制のサンドボックス制度の創設 このうち、②の地域限定型の規制のサンドボックス制度は、自動運転…

いわゆる「スーパーシティ法案」ですが、法案の内容は実は大きく3つの内容に分かれています。

①「スーパーシティ」構想の実現に向けた制度の整備

② 地域限定型の規制のサンドボックス制度の創設

③ 地域限定型の規制のサンドボックス制度の創設

このうち、②の地域限定型の規制のサンドボックス制度は、自動運転やドローンの実証実験を円滑に実施する為に、道交法、航空法、電波法などの許可を一括で取得できるというものです。

また、③特区民泊における欠格事由等の整備は、民泊事業の運営に必要な特別認定(国家戦略特別区域会議が定めた地域では、旅館業には都道府県知事の許可が必要とする旅館業法の規定の適用を受けないこと)の対象から暴力団員を排除するもので、いずれも議論が沸騰しているとの印象はありません。

では、①「スーパーシティ」構想の実現に向けた制度の整備はなぜ、懸念されているのでしょうか。

この改正案により、「国家戦略特別区域データ連携基盤整備事業」が、新たに「国家戦略特区」の「特定事業」の対象に追加されます。

また、「先端的区域データ活用事業活動」も同時に新たに定義されます。

一瞬なにがなんだかわからなくなりますが、「先端的区域データ活用事業活動」がいわゆるIOTやクラウド、ビックデータなどを活用した新たな事業を指します。

そして、その「先端的区域データ活用事業活動」に、「区域データ」と称される行政・住民データや、独立行政法人の保有するデータ、個人データ、公共機関や民間企業が保有する情報を提供するのが、「国家戦略特別区域データ連携基盤整備事業」です。

「先端的区域データ活用事業活動」がアプリケーションなら、「国家戦略特別区域データ連携基盤整備事業」がOSに該当しますので、「都市OS」と呼ばれるわけです。

一見すると時代に即した法整備に思えますが、どこが問題なのでしょうか。

まず、提供されるデータである「区域データ」ですが、それは「国の安全を損ない、公の秩序の維持を妨げ、又は公衆の安全の保護に支障を来すことになるおそれがあるものを除く」もので、「先端的区域データ活用事業活動」に活用されるもの、というように定義されています。

これはかなり広い定義で、「国」や「公」などの文言が見て取れる一方で、「個人の情報保護」などは言及されていません。

その意味で、個人の情報を保護するための、歯止めがしっかりと利くのかは、不安に感じる人もいるかもしれません。

次に、「先端的区域データ活用事業活動」の事業主体(以下、事業主体)が、どのような権限で、誰から「区域データ」を入手できるのでしょうか。

事業主体は、「国の機関又は公共機関等(独立行政法人)」の保有する「区域データ」としての活用が見込まれるデータを、内閣総理大臣に対して求めることができます。

そし内閣総理大臣は、遅滞なくデータを事業主体に提供する旨が明記されています。

内閣総理大臣は、データを所管する公共機関・関係行政機関の長に対し、データの提供を要請します。

内閣総理大臣の要請を受けた、行政機関の長は、法令違反の場合や公共を害するおそれがないときには、遅滞なくデータを事業主体に提供することが定められています。

一応、データを提供しない場合も想定されていますが、原則として提供することが定められていて、それも内閣総理大臣の要請によるため、データの提供を行わないケースというのは殆どないのではないかと推察してしまいます。

なお、地方公共団体についても、同様のデータ提供の規定が設けられている為、国の行政機関が保有するデータに加え、地方自治体保有のデータも提供の対象になります。

「区域データ」の提供を促進するための法律ですので、データの提供が前提とされているのは当然と言えば当然かもしれませんが、「区域データ」がかなり広く定義されていたり、行政(国・地方)がデータの提供を拒否する根拠が乏しい点、「個人情報の保護」に対する言及や規定がない点が、不安をあおる要素だとはいえるかも知れません。

皆さんはこの法律案についてどう思いますか?

少なくとも、国民の疑問点や懸念点が国会で十分に議論されることを期待しています。

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最新の反対コメント

@westman

2020/05/26

トロントではグーグルが撤退したと聞く。かなり議論も紛糾しているので、じっくりと議論を深めてほしいものである。

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@westman

2020/05/26

トロントではグーグルが撤退したと聞く。かなり議論も紛糾しているので、じっくりと議論を深めてほしいものである。

 詳細情報

議案件名 :国家戦略特別区域法の一部を改正する法律案 
提出国会回次 :201
議案番号 :5
議案種類 :閣法
提出者 : 内閣:
提出日 :2020年2月4日
公布日 :
法律番号 :