特定高度情報通信技術活用システムの開発供給及び導入の促進に関する法律案

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提出者 :内閣

特定高度情報通信技術活用システムの開発供給および導入の促進に関する法律案が国会に提出された。法案名だけ見るとどのような内容だか良く分からないかもしれない。端的に言うとドローンや5Gといった情報技術を活用して産業を盛り上げるための仕組み構築を目的とした法律だ。詳しい内容を見ていこう。

特定高度情報通信技術活用システムの開発供給および導入の促進に関する法律案が国会に提出された。法案名だけ見ると、どのような内容だか良く分からないかもしれない。端的に言うとドローンや5Gといった情報技術を活用して産業を盛り上げるための仕組み構築を目的とした法律だ。詳しい内容を見ていこう。


法案制定の背景

デジタル技術は急速に発展し、日本を取り巻く国際経済環境にも変化が生じている。こうした状況を受け、日本は新たな社会像の構築に迫られているといえる。新たな社会像として制定された概念が「Society 5.0」というものだ。

Society 5.0とは、仮想世界と現実空間を融合させることで、経済発展と社会的課題の解決の両立をはかる社会だ。Society 5.0ではIoTで全てのものがつながり、分野横断的な知識や情報の共有が期待できる。そして、Society 5.0に必要不可欠な基盤が5Gやドローンといった特定高度情報通信技術活用システムだ。

例えば、2G→3G→4Gというように移動体無線技術は、時代を重ね、高速化・大容量化が進められてきた。5Gもこの流れを汲み、超高速・大容量化が更に発展する。例えば、8K動画配信では2時間映画を3秒でダウンロードできるようになる。また、これまで以上に多数の端末が同時に接続可能で、スマート工場やスマート建設といった新たな産業の創出も期待される。遅延が生じるリスクも極限まで低減でき、遠隔医療の実現にも寄与するであろう。

このように、社会における特定高度情報通信技術活用システムの重要性が増す中、開発・供給や導入を促進するための措置を講じることを目的に、当法案が出されたところである。


特定高度情報通信技術活用システムとは

法案の第2条では、特定高度情報通信技術活用システムがどういったものか、具体的に定義されている。

  • 情報通信業務を一体的に行うよう整備された無線設備・交換設備・その他のプログラムなどの集合体を指し、政令で定める周波数の電波を利用することで大量の情報を高速度で受診できるもの
  • 国や自治体・重要社会基盤事業者の事業などにおける、点検や測量といった業務を一体的に行うよう構成された小型無人機及び、準ずる撮影機器やプログラムの集合体

具体例を挙げると、ドローンやローカル5G・全国5Gなどが該当する。

本法案は「サイバーセキュリティの確保」「産業の国際競争力の強化」「新事業の創出・事業の拡大」という3つの基本理念がある。つまり、ただ高度情報通信技術活用システムを活用して産業を盛り上げようという狙いだけでなく、サイバーセキュリティも考慮してシステムを構築するという点が大きなポイントだ。個人情報等の重要な情報をハッキングから守るために、情報漏洩に配慮した仕組みを構築する必要がある。本法案の内容的なポイントを下記に示す。


高度情報通信技術活用システムの開発・供給・導入の促進に関する指針の策定

経済産業省や総務省といった国の機関は、高度情報通信技術活用システムの開発・供給・導入の促進に関する指針を策定しなければいけない。指針では、高度情報通信技術活用システム等の開発・供給の内容・促進のための方策・促進にあたって配慮すべき事項などを定めなくてはいけないとされる。また、サイバーセキュリティの確保や適切な開発・供給・導入の重要性等も明記しなくてはいけない。


高度情報通信技術活用システムの開発・供給・導入計画の認定

システム導入事業者通信(通信キャリア・製造事業者等)にあっては導入計画の策定、開発供給事業者(ベンダー)に当たっては開発供給計画の策定が必要とされる。

例えば、開発供給事業者は、開発供給の目標・内容・実施時期・実施体制・必要な資金の額及び調達状況といった事項を定めなくてはいけない。

システム導入事業者は、事業所管大臣に対し計画の内容を申請し認定を受ければ、各種支援が受けることができる。また、開発供給事業者の場合は、経産・総務大臣に計画を申請し認定を受ければ、各種支援が受けられる。認定の際は、指針との整合性の観点からチェックされる。


特定高度情報通信技術活用システムの普及のための支援措置

普及のための支援措置とは、計画の認定を受けたら利用できる各種支援の具体的な内容である。まず、日本政策金融公庫から低利で融資を受けることができる(ツーステップローン)。また、固定資産税の減免など税制上の優遇措置を受けることも可能だ。システムの導入には莫大な資金が必要となるため、資金調達を容易にして、高度情報通信技術活用システムの普及をうながす。

上記で見てきた通り「指針の策定」「計画の策定」「資金上の支援措置」がこの法案の主な内容である。認定制度を設けることで導入事業者・ベンダー共に安全性・信頼性が担保され、供給の安定性につながる。


最新の賛成コメント

@westman

2020/08/26

半導体や液晶などかつて日本は国際競争力を持っていたが、通信産業を含め海外勢に対抗できなくなってきている。このような法律を作ってまで国内産業を支援しなければいけなくなってきているということだろう。

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@westman

2020/08/26

半導体や液晶などかつて日本は国際競争力を持っていたが、通信産業を含め海外勢に対抗できなくなってきている。このような法律を作ってまで国内産業を支援しなければいけなくなってきているということだろう。

 詳細情報

議案件名 :特定高度情報通信技術活用システムの開発供給及び導入の促進に関する法律案 
提出国会回次 :201
議案番号 :22
議案種類 :閣法
提出者 : 内閣
提出日 :2020年2月18日
公布日 :2020年8月28日
法律番号 :37