児童扶養手当全額が半年間上乗せされる

本法案は、児童扶養手当の受給者に対して、半年の間、手当全額分の臨時特別給付金を支給するという内容だ。法案の中では令和２年３月から令和２年８月分まで支給すると書かれているが、審議が遅れており、実現は不可能となってしまった。

試算では臨時特別給付金の１世帯当たりの支給額は毎月４７、９３０円と算定されている。現状、児童扶養手当を満額支給した場合４３、１６０円受け取れるが、今回の臨時特別給付金は一部支給者に対しても満額支給するため、算定平均額が上昇したと考えられる。所要経費は１ヵ月分４５０億円、半年分に換算すると約２，７００億円にものぼる。

児童扶養手当は２ヵ月分ずつ年６回支払われており、臨時特別給付金の支給タイミングもこれに合わせて支給する。つまり、端的に言うと半年間の間は、いつも受け取っていた児童扶養手当の額が倍になるということだ。

１人５万円の「ひとり親世帯臨時特別給付金」とは別物

現在行われている「ひとり親世帯臨時特別給付金」は、第二次補正予算が原資となっている。基本給付額は１世帯当たり５万円で、２人目以降の子供がいる場合には追加で３万円支給を受けられる。子供２人で８万円、３人で１１万円が受け取れることになる。

新型コロナウィルスの影響で収入が減少した世帯には、更に５万円の追加給付が行われる。この給付金は申請が必要な場合とそうでない場合に分かれるので注意いただきたい。２０２０年６月分の児童扶養手当を受け取った者は申請が不要だ。すでに、現在登録している口座あてに振り込まれただろう。

申請が必要な場合は２パターンあり、まずは公的年金等の交付により児童扶養手当の支給がストップしている人だ。老齢年金や障害年金等の公的年金と児童扶養手当は合わせて受け取ることができるが、公的年金の金額が児童扶養手当の支給額を越えてしまうと受け取ることはできない。

しかし、ひとり親世帯臨時特別給付金は、公的年金があるために児童扶養手当がもらえなかった人に対しても支給されるのだ。単純に支給額が増えるので、該当者は助かるだろう。ただし、前述した通り申請が必要で、市区町村の窓口・もしくは郵送で必要書類を提出しなくてはいけない。

また、新型コロナウィルスの影響により、児童扶養手当を支給できる水準以下の所得に落ちてしまった人は、追加給付５万円を受け取ることができる。こちらも自ら申請しなくはいけない。どれくらい収入が減少すれば追加給付が受け取れるのかは気になるところだが、厚労省のＱ＆Ａによると、事実確認は不要で本人からの申請のみで足りると記載されている。

ひとり親世帯への手厚いサポートが実現するが支給漏れが発生する可能性も

本法案のメリットは、もちろん生活が困窮するひとり親世帯の助け舟になる点だ。コロナの影響で収入が少なくなった人が多い中、ひとり親は育児まで担う必要があるのでかなりハードだ。

学校が休校となり子供が家にいることで食費や光熱費の負担も増えたことから、生活費も上昇している。このような状況を考慮すると、ひとり親世帯臨時特別給付金だけではサポートが十分でないと言える。そこへ、本法案なら、臨時給付金が一度ではなく継続的に支払われる。２ヵ月に一度とはいえ一定のスパンでお金が支給されるのは心強い。

デメリットとして挙げられるのは、申請しなければ受取れないことだろう。本来なら対象者であるのに、申請漏れで支給を受けられないパターンが考えられる。上記のようなケースを防ぐため、政府は積極的に制度内容を周知する必要がある。

以上が本法案の内容だ。ご意見がある方はぜひ投票ボタンを押して頂きたい。

＜参考リンク＞

新型コロナウイルスの感染拡大による生活への影響に関するアンケート調査報告｜グッドネーバーズジャパン

「コロナ困窮子ども支援法案」を提出　児童扶養手当額を倍増｜国民民主党

【参院本会議】「多様性を尊重し、共生社会を実現することは世界の常識」水岡参院会長｜立憲民主党

ひとり親世帯臨時特別給付金について|厚生労働省