自転車事故対策と損害賠償責任保険等に関する質問主意書

提出議員 : 松平 浩一

日本の自転車保有台数は2013年時点で7200万台と自動車の保有台数と同程度で、人口1人当たりの保有数は0.67台と、自転車先進国の欧米と比べても高水準である。警視庁の報告によると2017年度の交通死亡事故による死者数は減少傾向にあるものの、自転車による歩行者との事故が全交通事故に占める構成比は前…

日本の自転車保有台数は2013年時点で7200万台と自動車の保有台数と同程度で、人口1人当たりの保有数は0.67台と、自転車先進国の欧米と比べても高水準である。警視庁の報告によると2017年度の交通死亡事故による死者数は減少傾向にあるものの、自転車による歩行者との事故が全交通事故に占める構成比は前年より増加しており、特に若者と高齢歩行者との事故が多い。
2017年12月にはスマートフォンを使用しながら運転をしていた学生が77歳の歩行女性をはねて死亡させ、書類送検されている。また、衝突事故により重い障害が残ったとして9251万円の損害賠償を命じられた例もある。しかし損害賠償責任保険等への加入は60%にとどまっている現状がある。政府は増加する自転車事故に対して、損害賠償責任保険への加入促進を含む対策を早急に講じるべきではないだろうか。

  • 自転車事故に関する警視庁の報告では、事故への対策として以下の4点が挙げられている。各対策は具体的にどの程度進捗しているのか。特に保険加入について目標値などを設定しているのか。また、4点以外に取り組む予定の対策はあるのか。
  • 交通ルールの周知と交通安全教育の推進

  • 交通ルールを守らなかった場合の危険性の周知と、違反を繰り返す運転者を対象とした自転車運転講習制度の適切な運用

  • 損害賠償責任保険等への加入促進と家庭内での加入状況の確認

  • ヘルメット着用による被害軽減効果の周知と着用の促進   

  • 歩行者死亡・重傷事故の約52%は24歳以下の若者で、スマートフォンを片手で操作しながらの「ながら運転」等も原因の1つである。 政府はどの程度実態を把握しており、対策の必要性についてどう考えているのか。

  • 自転車利用者の多くが保険未加入で、賠償による自己破産の例もある。政府は賠償による自己破産の事例をどの程度調査等で把握しているのか。自転車への強制加入の「自賠責保険」がない中、賠償保険加入を義務とする自治体もでてきた。政府はこれらの自治体と情報連携やその効果の評価等を行い、これらの動きを評価しているのか。保険未加入のために被害者への賠償が不十分になったり、運転者の自己破産を防ぐ為に、保険加入を義務付けるべきではないか。

  • 警視庁が公表した4つの対策については2016年から2020年までを計画期間とする交通安全基本計画を踏まえて実施されている。引き続き関係省庁が連携して自転車交通事故の防止対策に取り組んでいく。それ以外の対策として、自転車の側面等への反射材用品の取り付け促進、安全性に優れた幼児2人同乗自転車の普及促進などの取組を行っている。

  • 警視庁の統計では2017年の24歳以下の自転車運転者と歩行者との事故のうち、歩行者が死亡・重傷の事故でスマートフォンを使用していた件数は3件で、例年と大きな相違はない。交通安全基本計画においてスマートフォン等の使用によるながら運転の危険性等の周知・徹底を図るとしており、政府としても基本計画を踏まえて施策を着実に実施していく。

  • 損害賠償による自己破産の事例数は政府として把握していない。一部の地方公共団体において、損害保険への加入を義務付けているが、その効果等については把握していない。自転車の損害保険への加入の義務付けは、負担増加に対する理解の為の議論が必要であり、慎重に検討する必要がある。

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 詳細情報

質問主意書名 :自転車事故対策と損害賠償責任保険等に関する質問主意書 
提出先 :衆議院
提出国会回次 :196
提出番号 :100
提出日 :2018年2月26日
転送日 :2018年2月28日
答弁書受領日 :2018年3月6日

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