公的医療保険制度の維持に関する質問主意書

提出議員 : 牧山 ひろえ

日本の保険医療制度は現役世代の負担によって成り立っているが、2025年以降には団塊の世代が75歳以上の後期高齢者となり、現役世代の負担が更に増加する。高齢者医療への拠出金の増加によって財政が悪化した健康保険組合(以下、健保組合)については、国が補助を行っている協会けんぽに移行させる等、政府として財…

日本の保険医療制度は現役世代の負担によって成り立っているが、2025年以降には団塊の世代が75歳以上の後期高齢者となり、現役世代の負担が更に増加する。高齢者医療への拠出金の増加によって財政が悪化した健康保険組合(以下、健保組合)については、国が補助を行っている協会けんぽに移行させる等、政府として財政悪化防止のために何らかの支援策を講じる必要があるのではないだろうか。

  • 政府は現役世代に強く依存している保険制度がこの先も維持できると考えているのか。特に現在全体の47%を占める高齢者医療の割合が、今度どの様に推移していくと予測しているか。そもそも加入者が支払った保険料の大半が他人の医療費に使われる現在の状況はもはや「保険」とはいえないのではないか。

  • 平均保険料率や介護保険料率の割合が増えてきた健保組合は、国が補助金を助成している協会けんぽに移行するべきではないか。仮に移行した場合、国庫負担はどの程度を想定しているのか。

  • 政府は高齢者医療への拠出増加により財政が悪化した健保組合に対して財政支援を行っているが、今秋以降の財政支援の予算をどの程度と見積っているか。政府は現在実施されている「特別負担調整」などの拠出金の負担軽減策を更に拡充するべきではないか。なお、今秋実施予定の「財政が悪化する前の段階からの健保組合の支援」の予算規模はどの程度を想定しているのか。

  • 政府は、国民の共同連帯の理念に基づき、高齢者への適切な医療の給付のためには現役世代の負担が必要であると考えている。政府は2018年5月21日に公表した「2040年を見据えた社会保障の将来見通し」をふまえ、社会保障の在り方を検討し見直しを行っていく。なお、高齢者医療費が全体に占める割合が今後のどのように推移してくかについては試算を行っていない。

  • 健保組合の在り方については様々な状況検証が必要であり、保険料率の変動によって直ちに解散するものではなく、現時点で移行に伴う国家負担の試算は行っていない。また政府は現在組合に対して行っている助言や指導に加え、今後は健康保険組合連合会とも連携して支援等を行っていく。なお、全国健康保険協会には基本的に保険給付費等の16.4%分を国庫で負担しており、解散により他の協会が権利義務を引き継ぐ場合は当該給付費相当分が増加することになる。

  • 政府は健康保険法の規定による指定を受けた組合に対して財政や予算に関する助言や指導を行っており、2017年度は1つの組合に対して約2千万円の助成を行った。「拠出金の負担軽減策」については組合の財政状況を踏まえて、予算編成過程で検討を行っていく。なお、「財政が悪化する前の段階からの健保組合の支援」については現在連合会と共に検討中である。

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 詳細情報

質問主意書名 :公的医療保険制度の維持に関する質問主意書 
提出先 :参議院
提出国会回次 :196
提出番号 :153
提出日 :2018年6月28日
転送日 :2018年7月2日
答弁書受領日 :2018年7月6日

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