ODAによるインドネシア・インドラマユ石炭火力発電所事業に係る人権侵害事案等に関する質問主意書

写真提供:国際環境NGO FoE Japan

提出議員 : 井上 哲士

日本がインドネシアで推進するODA事業(インドラマユ石炭火力発電所事業)に関連して現地で反対運動が起きる中、環境許認可の取消しをめぐる訴訟で勝訴した住民が「国旗侮辱罪」を理由に逮捕・勾留されるという事態が生じている。日本のODA事業の推進に際して反対派住民が不当に弾圧されることがあってはならいが、…

日本がインドネシアで推進するODA事業(インドラマユ石炭火力発電所事業)に関連して現地で反対運動が起きる中、環境許認可の取消しをめぐる訴訟で勝訴した住民が「国旗侮辱罪」を理由に逮捕・勾留されるという事態が生じている。日本のODA事業の推進に際して反対派住民が不当に弾圧されることがあってはならいが、政府は本件ODAにどのような関与を行っているのだろうか。

  • 政府は当該発電所事業の本体工事についてインドネシア政府からの円借款の要請を受けているのか。もし要請があればどのように対応するつもりか。また、現在までに実施されたエンジニアリング・サービス借款(以下、E/S借款)の貸付はどの程度あるのか。

  • バンドン行政裁判所の判決後、インドネシアの上級司法機関が反対派住民の訴えを棄却している。今後、反対派住民から再審請求が行われた場合、政府はインドネシア住民の意思がどこにあるのか見定めるつもりはあるか。 また、インドネシア当局による反対派住民の弾圧行為は、国際人権NGO「アムネスティ・インターナショナル」からも大きな非難を浴びている。このような人権侵害ともいえるインドネシア当局の一連の行為に対し、当該発電事業を支援してきた日本政府はどのように考えているのか。開発協力大綱が挙げる「基本的人権の保障の原則」にも反するのではないか。

  • 独立行政法人国際協力機構(JICA)理事は、これまでのE/S借款の貸付に対し、当該発電所事業の本体工事とは無関係であることを理由に問題はないとの認識を示している。しかし、JICAの環境社会配慮ガイドラインには、「基本的人権の保障」や「社会的合意の確保」などの内容が盛り込まれている。これらの点を鑑みると、借款によるものか本体工事に対する円借款によるものかを問わず、人権侵害の発生はあってはならない。住民の人権が守られるよう、環境社会配慮ガイドラインの見直しを検討すべきではないか。 なお、河野外相は同ガイドラインが「NGOをはじめ市民社会に深く関与いただき作成された」旨の発言を行っているが、NGOから意見を聴衆する考えはあるのか。

  • インドネシア政府から円借款の要請は受けていない。また、仮定の質問に対しては、回答を差し控える。E/S借款の貸付合計金額は、5億9827万1359円である(2016年~2018年)。受領したのはいずれもインドネシア国有電力会社、東電設計株式会社ならびに東電設計株式会社及びFICHTNER社である。

  • 現地の反対派住民による再審請求については、過程の質問であり回答を差し控えたい。また、本体工事への円借款の要請があった場合には、JICAの策定した「環境社会配慮ガイドライン」に基づく環境レビューにより、環境社会配慮上の要件を満たすか否かを確認することになるが、現段階においてインドネシアの状況における「対応」や「見解」を示すことは控えたい。

  • 当該発電所事業に係る本体工事の円借款は、同様に、JICA策定の環境社会配慮ガイドラインに基づき、政府がその可否を判断する。なお、本ガイドラインについては「施行後10年以内のレビューと検討」と「その結果に基づく必要に応じた改定」が定められており、日本国および開発途上国政府、国内外のNGO、企業、専門家等のヒアリングに基づき、JICAが改定作業を行う予定であると承知している。

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 詳細情報

質問主意書名 :ODAによるインドネシア・インドラマユ石炭火力発電所事業に係る人権侵害事案等に関する質問主意書 
提出先 :参議院
提出国会回次 :198
提出番号 :17
提出日 :2019年2月21日
転送日 :2019年2月25日
答弁書受領日 :2019年3月1日

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