各都道府県や政令指定都市では、内閣府作成の「県民経済計算標準方式(以下、標準計算方式)」と「ガイドライン」に従って市・県民経済の推定を行っている。 2018年3月の標準計算方式の改定で、最新の商業統計(2014年)ではなく2007年の商業統計を使うことが定められた。自治体が改定後に改めて市民経済の…
各都道府県や政令指定都市では、内閣府作成の「県民経済計算標準方式(以下、標準計算方式)」と「ガイドライン」に従って市・県民経済の推定を行っている。 2018年3月の標準計算方式の改定で、最新の商業統計(2014年)ではなく2007年の商業統計を使うことが定められた。自治体が改定後に改めて市民経済の推定を再度行ったところ、2014年の市内総生産が著しく増加するなどの影響あった。 この改定は、アベノミクスによる経済成長が地方にまで及んでいることを示すために行われたのか。
福岡市による改定後の市民経済計算の再推定では、市内総生産が約8.5%(約5700億円)増加した。改定による影響は大きいが、実際に実際に2014年の商業統計は2007年比で、卸売・小売業の年間商品販売額が69兆円(全国)、2.6兆円(福岡市)減少している。 政府は、他の各都道府県における同様の影響の有無を、その原因・規模も含め把握しているのか。推計結果に大きな影響を与える改定について、国民に十分な説明を行ったのか。
福岡市は改定前の「県民経済計算推計方法ガイドライン」には、どの調査年の商業統計を利用する旨の指針がなく、当時最新の商業統計を採用したとしている。旧ガイドラインは内閣府のHPでは公表されていないが、県・市へはどのように指示していたのか。また改定後のガイドラインには、2007年の商業統計を使うように指示があるが、その理由を明確にすべきではないか。
年間商品販売額が大きく減少する前の、2007年の商業統計を用いて、県・市民経済計算を推計することは、アベノミクスによる経済成長が地方にまで波及していることを示す狙いがあるのではないか。
市・県民経済計算は、標準方式とガイドラインに則り、各都道府県および政令指定都市が自主的に推計しているものであり、推計方法の変更による影響について、政府として回答するのは困難である。 また、標準方式およびガイドラインは内閣府のHPにて好評し、会議などで各都道府県等の担当者に推計に関する助言を行っている。
改定後のガイドラインへの2007年の商業統計を用いる旨の記載は、経産省が2015年12月に公表した「2014年商業統計表」にて、「平成二十六年調査は、日本標準産業分類の第十二回改定及び調査設計の大幅変更を行ったことに伴い、前回実施の平成十九年調査の数値とは接続しない※」旨の、利用上の注意を行ったことを受けてのことである。 改定前のガイドラインにおいては、上記利用上の注意公表前のものであり、推計に用いる商業統計は明示されていなかった。
本改訂は、あくまでも経産省の利用上の注意を受けてのものであり、アベノミクスによる経済成長が地方にまで波及していることを示す狙いがある旨の指摘は当たらない。
※ 原文を引用しました。
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質問主意書名 : | 県民経済計算及び市民経済計算の推計方法の変更に関する質問主意書 |
提出先 : | 衆議院 |
提出国会回次 : | 198 |
提出番号 : | 94 |
提出日 : | 2019年3月14日 |
転送日 : | 2019年3月20日 |
答弁書受領日 : | 2019年3月26日 |