平成「過ち」の財政史を教訓とする「令和」のあるべき財政運営の構想に関する質問主意書

提出議員 : 石上 俊雄

財政制度等審議会(以下、財政審)は2018年11月、麻生財務大臣に「平成31年度予算の編成等に関する建議」(以下、平成最後の建議書)を提出した。 平成最後の建議書では平成の財政運営を、財政健全化の出発点に過ぎない「国と地方のプライマリーバランス」(以下、PB)の黒字化すら15年かかっても達成できず…

財政制度等審議会(以下、財政審)は2018年11月、麻生財務大臣に「平成31年度予算の編成等に関する建議」(以下、平成最後の建議書)を提出した。 平成最後の建議書では平成の財政運営を、財政健全化の出発点に過ぎない「国と地方のプライマリーバランス」(以下、PB)の黒字化すら15年かかっても達成できず、財政健全化どころか財政を一段と悪化させた「万死に値する財政運営」とし、政府に猛省を促している。 平成を教訓とした、令和のあるべき財政運営について、政府はどのような構想をもっているのか。

  • 我が国は「2020年度のPB黒字化」をこれまで国際公約としてきたが、昨年の「経済財政運営と改革の基本方針2018」で目標年度を5年先送りにした。 政府は、2025年度のPB黒字化を引き続き国際公約としているのか。もし公約としての扱いを改めるのであれば、目標年度への信頼性の低下をどう防ぐのか。 また、補正予算によって予算規模が膨らむ問題を、財政審ならびに会計検査院からも指摘されている。翌年度の当初予算を抑える為に、一部予算を前年度の補正予算に前倒す「補正回し」の増加が原因として考えられるが、これは財政法の趣旨にかなうと政府は考えるのか。

  • 「平成最後の建議書」では、消費税率の予定通りの引き上げを社会保障制度の実現の為には必要としているが、今年10月に消費増税は実施されるのか。もし延期する場合はどのような基準での判断になるのか。また、持続可能な社会保障制度の実現の為には、10%の消費税率で十分との認識か。さらなる税率の引き上げが必要ならば何%が妥当と考えるのか。

  • 本年度予算は当初予算としてはじめて100兆円台の規模となり、歳出は「臨時・特別の措置」により膨張した。これは平成最後の建議書が「平成最後の予算は新しい時代の幕開けにふさわしい予算となることを期待したい」とする精神に則ったものと政府は考えるのか。 なお、平成の過ちを教訓とした令和時代の財政運営として、どのような財政構想を政府はもっているのか。

  • 一般論として、国際会議での演説などに法的拘束力はなく、そこでの事項は国際公約とはならないが、2020年度および2025年度の基礎的財政収支の黒字化目標は幾度となく国際会議での説明や財務大臣演説でも触れられており、政府としては、経済再生と財政健全化の取り組みを通して、2025年度の国・地方を合わせた同収支の黒字化を目指していく。 また補正予算は、財政法上その計上が認められているが、政府としては、各年度の補正予算を同法の定める「予算作成後に生じた事由等」に基づき適切に編成していると考えている。

  • 社会保障政策や少子化対策へ向けての財源確保を目指すためにも消費税率の10%の引き上げは必要であり、リーマンショック級の事象が生じない限り、本年10月に引き上げる予定は変わらない。その後については検討をしていない。

  • 2019年度予算は、消費増税財源による幼児教育の無償化などの社会保障の充実と、消費増税による経済への影響の緩和を求める建議の指摘も踏まえ、「臨時・特別の措置」などにより約101.5兆円となった。同年度予算では、新規国債発行額を前年度の当初予算と比べ、約1兆円減額するなど、「平成最後の建議書」に沿ったものと考えている。 また、政府としては経済再生と財政健全化に向けて取り組みを進め、2025年度の国・地方を合わせた基礎的財政収支の黒字化と、債務残高の対GDP比率の安定的な引き下げを目指していく。

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 詳細情報

質問主意書名 :平成「過ち」の財政史を教訓とする「令和」のあるべき財政運営の構想に関する質問主意書 
提出先 :参議院
提出国会回次 :198
提出番号 :40
提出日 :2019年4月15日
転送日 :2019年4月17日
答弁書受領日 :2019年4月23日

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