外国人技能実習生への人権侵害に対する対策に関する質問主意書

提出議員 : 長尾 秀樹

日本における外国人技能実習生(以下、実習生)は32万人を超え人手不足を支える労働力となっているが、実習生への不当解雇、旅券の取上げ、外部交流禁止などの人権侵害が多発している。政府はこのような状況を把握し、受入企業に適切な監督を行っているのだろうか。そもそも単なる労働力として外国人を受け入れることが…

日本における外国人技能実習生(以下、実習生)は32万人を超え人手不足を支える労働力となっているが、実習生への不当解雇、旅券の取上げ、外部交流禁止などの人権侵害が多発している。政府はこのような状況を把握し、受入企業に適切な監督を行っているのだろうか。そもそも単なる労働力として外国人を受け入れることが、外国人への人権侵害を助長するのではないか。

  • 縫製会社の技能実習生が結婚をしたところ解雇された事例がある。また、携帯電話やパスポートの取上げや外部との連絡を禁止された事例もある。政府はこのような事案が、2013年度以降にそれぞれ何件発生したのかを把握しているのか。

  • 実習生に日本国内での生活を制約する承諾書に署名をさせる企業や監理団体が多数存在することを政府は把握しているか。
    承諾書への署名は、「解雇などの不利益」がたとえ書面・口頭で行われていなくても、「解雇などの不利益を提示することで、実習生に他者との通信や外出の禁止を求める」ことを禁ずる技能実習法111条6号に該当するのではないか。
    また、結婚や妊娠等を理由とする解雇や私生活の不当な制限を行った企業や監理団体には、どのような制裁がなされるのか。

  • 社会の多様性や人権の尊重を考慮せずに人手不足解消の安価な労働力として外国人材を受け入れることは、外国人労働者の人権侵害行為を助長するのではないか。外国人に選ばれるような就業制度と環境を整備し、世界的な人材獲得競争に備えるべきではないか。

  • 国際研修協力機構および労働政策研究・研修機構が実施した「帰国技能実習生フォローアップ調査」では以下の通りであった。

  • 「携帯電話の使用を禁じられた」と回答した実習生

    • 2017年度 5359人中229人
    • 2016年度 3151人中125人
    • 2015年度 2071人中99人
    • 2014年度 578人中19人
    • 2013年度 1810人中149人

  • 「日本にいるの知人技能実習生との電話や会うことを禁じられた」と回答した実習生

    • 2017年度 5359人中50人
    • 2016年度 3151人中30人
    • 2015年度 2071人中25人
    • 2014年度 578人中4人
    • 2013年度 1810人中67人

  • 技能実習生のパスポートを取り上げた行為の件数

    • 2017年度 2件
    • 2016年度 16件
    • 2015年度 9件
    • 2014年度 2件
    • 2013年度 1件

  • 技能実習生の人権を著しく侵害する行為(暴行や脅迫等・旅券や在留カードの取上げ・賃金等の不払を除く)の件数

    • 2017年度 3件
    • 2016年度 6件
    • 2015年度 9件
    • 2014年度 6件
    • 2013年度 2件

  • 犯罪の成否は個々に判断すべき事柄であり一概にお答えすることは困難※」である。
    なお「制裁」については、一般的に男女雇用機会均等法は、事業主に結婚や妊娠を理由とする解雇を禁じており、違反した場合には指導・勧告を受け、更にはその旨が公表されることになる。 また技能実習法では「技能実習生の外出その他の私生活の自由を不当に制限してはならない」旨を規定し、違反した実習実施者には技能実習計画の認定取消などの措置が取られ得る。同様に監理団体には、監理許可の取消、事業停止などの該当がなされ得る。さらに、そのような制限を告知した者には6か月以下の懲役または30万円以下の罰金が処される。

  • 政府としては、外国人実習生を適切に受け入れ、日本人と外国人が共に安心して安全に暮らせる社会を目指している。「外国人材の受入れ・共生のための総合的対応策(2018年12月閣議了承)」に沿って安全で適正な労働環境と雇用管理の整備を進めている。

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 詳細情報

質問主意書名 :外国人技能実習生への人権侵害に対する対策に関する質問主意書 
提出先 :衆議院
提出国会回次 :198
提出番号 :193
提出日 :2019年5月28日
転送日 :2019年6月3日
答弁書受領日 :2019年6月7日

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