政治資金関係申請・届出オンラインシステムの活用に関する質問主意書

提出議員 : 丸山 穂高

「政治資金関係申請・届出オンラインシステム(以下、届出システム)」をご存じだろうか。

政治団体には、政治資金規正法で「政治資金収支報告書(以下、収支報告書)」の提出が義務付けられている。その提出をインターネットで行えるよう総務省が2004年度に整備したのが、届出システムだ。

しかし、そもそも収支報告書の作成と公表には問題点はないのだろうか。そこに問題点があれば、届出システムがいかに優れたシステムでも国民の政治監視には役立たない。

実は、収支報告書の作成と公表には、収支報告書を提出しない政治団体の存在や、収支報告書のインターネット上での公表を拒む県が7県も存在するなど多くの問題が指摘されている。収支報告書の公表に時間がかかる点や公表期間が制限されているのも同様に問題だろう。

収支報告書を提出しない政治団体

まず、収支報告書の義務が政治資金規正法で定められているにも関わらず、国会議員や地方議員が収支報告書の提出を怠るケースが相次いている。

その様な場合、政治資金規正法により2年連続で収支報告書を提出しない政治団体(編集部注:政党や国会議員が代表をつとめる団体も含まれる)は、設立届を提出していない団体とみなし、寄附を受けることや逆に支出を行うことが禁止されることになる。

収支報告書の提出を徹底させるためには、提出期限経過後に総務省または都道府県選挙管理委員会から電子メールなどで一斉に督促を行い、それでも提出を行わない団体については、収支報告書の提出義務違反として、告発するべきではないか。

答弁:
そのような政治団体に対しては、収支報告書を提出期限までに提出するよう文書等で促すとともに都道府県選挙管理委員会にも督促を求めており、引き続き取組を進めたい。

設立届を提出していない団体とみなされた場合、公報または官報への掲載等の方法により遅滞なく公表されることになる。


収支報告書のインターネット公表に消極的な7つの県

収支報告書の公開は政治資金規正法の掲げる「政治活動の公明と公正の確保」と「民主政治の健全な発達」に不可欠だが、収支報告書をインターネット上で公表していない県が7県(新潟県、石川県、福井県、兵庫県、広島県、山口県、福岡県)にのぼる。

そうすると収支報告書の閲覧には、実際に公開場所まで出向くか、郵送費などを負担の上で写しの交付を請求する必要がでてくるが、国民の利便性を高めるためには、インターネット上での公表を必須とし、7県に対しても公表するように総務省も支援を行うべきではないか。

答弁:
収支報告書のインターネット上での公表は、各都道府県選挙管理委員会が判断することである。
総務省は、これまで都道府県選挙管理委員会に積極的な検討を依頼し、2018年度は40都道府県がインターネット上での公表を行った。引き続き積極的な検討を依頼していく。


届出システムが普及しない原因

では、届出システムを使えば、簡単に収支報告書が提出できるのだろうか。

例えば、国会議員関係政治団体(編集部注:国会議員が代表者の政治団体)は、寄附者へ寄附金控除の書類を提供する必要があるが、その書類は届出システムで収支報告書を提出したとしても、総務省または都道府県選挙管理委員会へ行く必要がある。

また、届出システムで添付書類として「監査意見書」や「政治資金監査報告書」を提出する際には、監査人による電子署名が必要になっている。この場合、監査人が対応できなければ結局は書面の郵送が必要になってしまう。
寄附金控除の為の種類の入手を電子化したり、「監査意見書」や「政治資金監査報告書」の提出をより簡便な方法で行えるように、届出システムを見直すべきではないのか。

答弁:
控除書類の電子化については、収支報告書の提出期限と確定申告書の提出期限に差異があることを踏まえ、収支報告書のオンライン提出の状況とシステム改修に係る費用対効果も勘案しつつ、検討すべき事項であると考えている。


届け出システムの問題点

収支報告書の公表は、翌年の秋(編集部注:収支報告書は3月31日までにその前年の支出と収入と資産を提出するが、公開は11月30日までとされている)までと遅い。

またその公表期限についても、届出システムによる収支報告書の公表期間は、法律上の文書保存期間に準じていて、その期間が過ぎるとインターネット上でも非公開になってしまうなど、改善の余地があるのではないだろうか。

答弁:
総務大臣又は都道府県選挙管理委員会は、受理した収支報告書を提出された年の11月30日までに公表することとされ(政治資金規正法)、収支報告書の受理後、公表までの間、総務省及び都道府県選挙管理委員会において、形式審査等を行っている。
また、収支報告書は公表した日から3年を経過する日まで保存することが義務付けられ、同期間中であれば、何人も収支報告書の閲覧又は写しの交付を請求することができ、インターネット上の公表も同期間行うこととしている。


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 詳細情報

質問主意書名 :政治資金関係申請・届出オンラインシステムの活用に関する質問主意書 
提出先 :衆議院
提出国会回次 :201
提出番号 :63
提出日 :2020年2月18日
転送日 :2020年2月25日
答弁書受領日 :2020年2月28日

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