編集部の解説 キャッシュレス・ポイント還元事業が消費税率の引上げ(2019年10月)の景気刺激策として行われています。 還元対象の決済金額は3.7兆円、還元額は1500億円にも達し(2019年12月20日時点)、還元事業の参加加盟店のうち、約40%は売上増に効果があったと感じているようです。 …
編集部の解説
キャッシュレス・ポイント還元事業が消費税率の引上げ(2019年10月)の景気刺激策として行われています。
還元対象の決済金額は3.7兆円、還元額は1500億円にも達し(2019年12月20日時点)、還元事業の参加加盟店のうち、約40%は売上増に効果があったと感じているようです。
一方、新型コロナウイルスの影響で、マスクやアルコール液を通常価格の20~50倍以上もの高額で販売する事業者が問題になっています。そのような事業者は様々なトラブルを消費者との間で起こしていますが、残念ながら、その中には還元事業の加盟店も含まれてます。
その様な事業者が還元元事業の登録加盟店であることは、不適正な価格でのマスク販売に行政がお墨付きを与えることになるのではないでしょうか。
また、還元事業の63%(決算金額比)を占めるクレジットカードは実は制度上の不備が多く、消費者が不利な立場に立つことが多いようです。
質 問
キャッシュレス還元事業の登録加盟店で高額なマスクを販売している悪質業者や、取締りを十分に行わない決済事業者に対しては、登録を取消すべきではないか。また、利用者の適切な出品・購入を求める消費者庁のデジタル・プラットフォーマーに対する要請が効果を上げておらず、高価格のマスクを購入せざるを得ない状況の今こそ、国民生活安定緊急措置法(オイルショックの際の物価上昇に対する措置として立法され、重要物資の価格を調整する)を適用して適切な指示・命令を行うべきではないのか。
クレジットカードの翌月一括払に、割賦販売法の支払い停止の抗弁権(クレジットカード会社への支払いを一時的に拒める権利)が適用されないことは法の不備ではないか。消費者が販売店との連絡が取れないなどの事例が多発している。翌月一括払を割賦販売法の適用対象とするべきではないか。
通信販売にはクーリング・オフ制度(契約後一定の期間内であれば、無条件で購入者が契約を解除できる制度)は適用されないが、必要な情報を十分に提供しないまま販売する業者も存在し、消費者問題が多発している。通信販売も適用対象に加えるべきではないか。
答 弁
キャッシュレス・ポイント還元事業の趣旨目的は、消費税率引上げ後の消費喚起とキャッシュレス決済の普及であり、これに照らして加盟店および決済事業者の登録を行う必要があると考える。また、国民生活安定緊急措置法の適用も含めて、必要なマスク等が確保されるよう引き続き適切に対応してまいりたい。
加盟店契約会社が調査により悪質な加盟店を是正・排除することを義務付けるなど、消費者トラブルの未然防止を図っていることから、法の不備とはいえないと考える。また、追加の規制を課した場合消費者に負担が転嫁され、利便性が著しく後退することから、割賦販売法の適用対象とされていない。なお、翌月一括払をリボルビング払等に変更した場合には同法の適用対象となる。
消費者の自主性が損なわれる程度が小さいことからクーリング・オフ制度の対象にはなっていないものの、特定商取引法第15条の3において商品等の売買契約の解除等が定められているところであり、クーリング・オフ制度の適用対象に加えることは考えていない。
まだコメントが投稿されていません。
質問主意書名 : | キャッシュレス決済による消費者問題に関する質問主意書 |
提出先 : | 衆議院 |
提出国会回次 : | 201 |
提出番号 : | 89 |
提出日 : | 2020年2月28日 |
転送日 : | 2020年3月4日 |
答弁書受領日 : | 2020年3月10日 |