政治的に独立した機関であるはずの会計検査院が政治と癒着

会計検査院は各省庁・政府関係機関・独立行政法人などの会計処理が適切に行われているのかを検査する機関です。業務の性質上、各省庁からは独立した地位を与えられ、中立的な立場から公平・公正に検査を実施します。しかし、近年は会計検査院の独立性が失われ、機能不全に陥っていることが問題視されています。

象徴的な出来事は、財務省の決裁文書改ざんが明らかになった森友学園問題です。

会計検査院は検査時に、改ざん前・改ざん後２つの文書があることに気づいていながら、そのことを指摘せず改ざん後の文書をもとにチェックを行ったというのです。 これが本当なら会計検査院は財務省に対して「忖度」したことになります。検査機関が検査対象に忖度しては公正・適正な検査など実現できるわけがありません。

会計検査院の担当者は、「大幅値引きの根拠が不十分」、「関連文書が廃棄されていたため経緯の十分な検証ができない状況だった」との内容の報告書を提出する前に、２つの文書があることに気づいていたと述べているため、忖度が行われた可能性は高いでしょう。

真に中立的存在である人事院との連携が必須

現状の会計検査院の機能不足の是正にとって、重要な存在が人事院です。人事院は、人事行政の公平性の確保を大きな目的としています。人事院は「中立的な第三者機関」とも呼ばれ、会計検査院と同様、内閣とは独立の地位が与えられています有しています。

各省庁と会計検査院の私情や縁故による人事異動を防ぐためには、各省庁から距離を保つことができる人事院の力を借りると効果が発揮できるでしょう。機能不全に陥ってしまった会計検査院が力を取り戻すためには、同じ独立機関の地位にある人事院のサポートが必要です。

本改正では会計検査院の権限を強化するために「人事院との連携」のほか、処罰範囲の拡大や是正要求に従わない場合の再要求の権原など「懲戒処分に従わない場合の説明責任」等についても規定しています。

主な改正点

主な改正点をまとめましたので、改正案によりどこを変えようとしているのか、確認したいと思います。

会計処理上の不正が生じるリスクを下げるためには、会計検査院が検査で権限をフルに発揮できない現状を正す必要があります。
政治や行政から中立した存在である人事院と連携することで、本来の役割を全うする機関に生まれ変わってほしいところです。