認知症基本法に賛成ですか? 提出から一年半以上経った今も審議中

認知症基本法案

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提出議員 :橋本 岳

2019年6月、自民党議員の田村憲久氏などによって、「認知症基本法案」が議員立法として提出されました。

厚生労働省によると、認知症とは「生後いったん正常に発達した種々の精神機能が慢性的に減退・消失することで、日常生活・社会生活を営めない状態」のことです。主な症状としては、記憶障害や暴言、暴力などの異常行動が指摘されています。

日本の認知症患者数は年々増加しており、2014年に行われた「日本における認知症の高齢者人口の将来推計に関する研究」によると、日本の認知症患者数は2025年に約650万人以上になることが予想されています。ちなみに千葉県の人口が約600万人です。日本の認知症患者数がいかに多いのか見当がつくのではないでしょうか。認知症発症率は高齢者ほど高くなるため、高齢化が進む我が国の認知症患者は今後も増え続けると予想されています。

提出された認知症基本法は、このような現状を背景に、認知症患者が社会の一員として尊重される社会を実現させるのが狙いです。

本法案は提出から1年半以上経過した現在にいたっても、いまだ審議中です。

今回は、法案の詳しい内容などをわかりやすく解説していきます。


法案提出の経緯とその後

本法案は、2019年6月、政府が定めた「認知症施策推進大綱」を基にまとめられました。認知症施策推進大綱は国が取るべき認知症対策の基本的な考え方を示したものです。

【認知症施策推進大綱における基本的な考え方】
認知症の発症を遅らせ、認知症になっても希望を持って日常生活を過ごせる社会を目指し認知症の人や家族の視点を重視しながら「共生」と「予防」(※)を車の車輪として施策を推進
※予防:ここで言う予防とは、「認知症になるのを遅らせる」、「認知症になっても進行を緩やかにする」という意味

ここで定めた基本的考え方を、より具体的な施策に落とし込んだものが認知症基本法です。

認知症施策推進大綱と時を同じくして提出された本法案でしたが、新型コロナウイルス対策関連で多くの法案が提出されたため、国会審議がなかなか進まず、足止め状態となっています。


多角的な認知症支援が規定

いまだ審議が進まない本法案ですが、どのような内容なのでしょうか。法案が定める主な施策を見ていきましょう。

施策 内容
教育の推進 ・学校教育、社会教育における認知症についての教育推進
・認知症の人についての理解を深める運動展開
バリアフリー化の推進 ・認知症の人が安心安全に暮らせる地域づくりのため、交通手段、交通安全の確保
・認知症の人の権利保護を図るため、消費生活での被害防止のための啓発
・認知症の人の生活サポートのため、認知症の人が利用しやすい製品・サービスの開発、普及の促進
社会参加の確保 ・認知症の人が生きがいをもって暮らせるよう、社会参加の機会を確保
・65歳未満の働ける状態の人の雇用継続や円滑な就職等が重要であることに鑑み、事業主に対して認知症等に関する知識普及に努める
予防 ・認知症の予防に関する啓発、知識普及、活動推進、情報収集等に努める
・認知症の早期発見・早期対応推進のため、地域包括支援センター・医療機関・民間団体等の間の連携協力体制整備
保険医療、福祉サービスの提供体制の整備 ・認知症の人が居住する地域に縛られず、等しく適切な医療が受けられる、専門的な医療機関の整備
・地域包括ケアシステムの構築
・医療、介護従事者に対する認知症の人への対応を向上させるための取り組み
相談体制の整備 ・関係機関の相互連携のもとに、認知症やその家族からの相談を受けることができる体制を整備
・認知症の人と家族が互いに助け合える環境のための支援体制を整備
・家族の負担を軽減するため、認知症の人の状況に応じた対処、学習機会の提供
研究開発の推進 ・認知症に関する研究の促進、その成果の活用
・全国的な調査の実施、治験の迅速かつ容易な実施のための環境整備
認知症に関する調査 ・調査の実施
・調査に必要な体制の整備
多様な主体の連携 ・国、地方公共団体、保健医療サービス・福祉サービス提供者などが相互に連携して、認知症施策に取り組めるようにする
国際協力 ・外国政府、国際機関、関係団体との情報交換

上記を見ると、多角的な分野において、認知症支援を図ろうとしているようです。

また、研究開発や事業者を巻き込んだり、国際協力を視野に入れたりしていることから、非常にダイナミックな取り組みを規定していることが分かります。


施策の実施は国の基本計画を自治体に落とし込む

これらの基本施策の具体的な目標や達成時期については、国が「認知症施策推進基本計画」を作成しなければなりません。

さらに、あくまで「努力義務」ですが、国が作成する基本計画をもとに、各都道府県が地域の現状に合わせた、「都道府県認知症施策推進計画」を、国が作る基本計画や各都道府県の推進計画をもとに、各市町村が「市町村認知症施策推進計画」を作成することも求められています。

本法案において認知症施策は、認知症施策推進基本政策(国)→都道府県認知症基本施策推進計画(都道府県)→市区町村認知症基本施策推進計画(市町村)へと落とし込んでいく流れで進んでいきます。

このような縦の流れは一般的ですが、時には都道府県や市区町村が国に働きかけ、効果的な施策について提言する必要もあるかもしれません。


基本計画を策定するのは新たな組織

本法案では、認知症施策を総合的、計画的に推進するため、内閣に「認知症基本施策推進本部」を設置することが定められました。

この組織では、認知症施策推進本部長として、内閣総理大臣をトップに置き、内閣官房長官、健康・医療戦略担当大臣、厚生労働大臣を副本部長に置きます。

本部員を務めるのは、本部長、副本部長以外全ての国務大臣で、かなりスケールの大きな組織です。 この組織では、あらかじめ認知症の人、その家族の意見を聴いたうえで

  • 基本計画案の作成、実施の推進
  • 施策の調整、実施状況の評価
    などを行うとのことです。

まずは議員立法の審議時間確保を

法案はどんなに時間をかけて立案されても、高く評価されても、審議されなければ、次のステップへは進めません。

本法案はいまだ足止め状態となっています。国会審議では、内閣がまとめる閣法が優先され、議員立法は後回しにされているのが実情です。憲法が定める「国権の最高機関」である国会の役割を果たすためには、閣法ではなく、国会議員がまとめる議員立法の審議により時間を割くべきではないでしょうか。

有事である新型コロナウイルス関連の審議が優先されるのは仕方のないことですが、コロナ関連でない法案が審議されていることも事実です。議員立法の審議時間の確保が望まれます。

本法案の審議の行方をレプログでも注目していきたいです。 みなさんはこの法案に賛成ですか?反対ですか?

最新の賛成コメント

@m_kmtm@0101

2021/02/03

高齢化社会になっていく上で、認知症の人は増加していくと思う。教育現場でも認知症について学ぶ機会を増やし、接し方や自分もなる可能性があるということを教育していってほしい。

最新の反対コメント

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@m_kmtm@0101

2021/02/03

高齢化社会になっていく上で、認知症の人は増加していくと思う。教育現場でも認知症について学ぶ機会を増やし、接し方や自分もなる可能性があるということを教育していってほしい。

@restog

2021/01/30

今後ますます対策が必要になってくるであろう認知症問題なので、多少時間がかかっても、細部まで検討を重ねてしっかりとした対策基盤を作ってほしいと思った。

@なんたん

2021/01/24

内閣がまとめる閣法が優先で、議員立法は後回しというのは知りませんでした。認知症も身近になり、本人と家族が不安なく生活できるためにも早急に進めて頂きたいです。

@だるばーど

2021/01/23

提出から一年半経っても審議中ということに驚きました。議員立法が法案提出の要件が厳しいだけでなく、審議が後回しにされてしまうという現状をなんとか改善して欲しいです。超高齢化社会において認知症が社会に与える影響は今後ますます大きくなっていくのは確かなので、社会全体でこの問題に取り組むためにも基盤としての法案成立を希望します。

@もも

2021/01/22

高齢化社会になってきていますし、認知症支援は積極的に行ってもらいたいところです。国民全員にとって他人事ではありませんし、私自身も将来は心配に思っています。今はコロナで大変なので、こちらに手が回っていなくても仕方ないと思いますが、落ち着いたら早急に審議に入ってもらいたいですね。

@TONOさん3号

2021/01/22

私も近しい人に認知症らしき(予備群)人がいます。何故それが分からないのと思いますが近くでいると本人も苦しんでいることに気が付きます。誰にも起こり得る老い問題ですからみんなで考えなくてはならないことです。 審議が停滞しているのはもどかしいですね。周知と援助の両方で早急に取りまとめて頂きたいです。

@ichi369

2021/01/22

我が国にとっては先送りできない課題といえますので、すぐにでも審議入りしてもらいたいです。ただ、予防ではなく、医療的に解決できる問題であれば審議もしやすいのでしょうが、現状では結局、努力目標のような形になってしまう不安もあります。

@kimuu

2020/09/23

自民、公明両党から提出された認知症基本法案のため、すぐ成立するものだと思っていました。この法案も新型コロナの影響を受けてしまったように感じます。

 詳細情報

議案件名 :認知症基本法案 
提出国会回次 :198
議案番号 :30
議案種類 :衆法
提出議員 : 橋本 岳
提出日 :2019年6月20日
公布日 :
法律番号 :