6月13日にホルムズ海峡で日本の海運会社が運航するタンカーが被弾した。7月25日にポンペオ米国務長官が、有志連合への参加を日本を含む7か国に対し要請したと発言した。日本が有志連合に参加することが法令上可能なのか。根拠となりうる法令について政府はどの様に認識しているのか。 自衛隊派遣の可能性につ…
6月13日にホルムズ海峡で日本の海運会社が運航するタンカーが被弾した。7月25日にポンペオ米国務長官が、有志連合への参加を日本を含む7か国に対し要請したと発言した。日本が有志連合に参加することが法令上可能なのか。根拠となりうる法令について政府はどの様に認識しているのか。
自衛隊派遣の可能性について、岩谷防衛大臣は「現時点では考えていない(7月16日)」と述べたが、菅官房長官は「今後の対応を予断を持って発言することは控える(7月26日)」と述べ、自衛隊派遣の可能性を否定しなかった。政府は、現時点で自衛隊を派遣することを考えているのか。
各種法令の確認
安保法制:安倍総理は2014年7月14日の衆議院予算委員会で、「ホルムズ海峡経由の石油供給が回復しなければ、我が国の国民生活に死活的な影響が生じ、我が国の存立が脅かされる」旨を発言し、ホルムズ海峡における存立危機事態(安保法制に規定)の可能性を認めた。この発言によれば、我が国の国民生活に死活的な影響が生じる状況に至っていない限り、石油供給途絶を理由とする存立危機事態の認定はなされないとの認識でよいか。
自衛隊法:海上警備行動(自衛隊法に規定)による保護の対象とならない外国籍船が海賊に襲撃されている場面に遭遇した場合に、ヘリコプターによる状況の確認を行うなどの「事実上の行為」は可能としているが、海賊対処法制定以前の同行為の法的根拠は何か。
PKO協力法:国際連携平和安全活動(「国際連合平和維持活動等に対する協力に関する法律(PKO協力法)」に規定)は、公海上の船舶攻撃に対する活動に関し適用されないとの認識でよいか。
具体的な活動の法的根拠
哨戒活動:我が国による哨戒活動は、重要影響事態法に基づく後方支援や捜索救助活動としては行えないとの認識でよいか。公海での哨戒活動は、防衛省設置法の「所掌事務の遂行に必要な調査及び研究を行うこと(4条18号)」に基づいて行われているとの理解でよいか。
船舶検査活動:我が国による船舶検査活動は、「国際平和共同対処事態(「国際平和支援法)に規定)」に基づき実施可能であるが、船舶検査活動は「貿易その他の経済活動に係る規制措置であって我が国が参加するものの厳格な実施を確保する目的(「重要影響事態等に際して実施する船舶検査活動に関する法律」に規定)」でなければ行えないとの認識でよいか。
今後の対応に係る質問については予断をもって回答することは差し控える。
各種法令の確認
安保法制:「いかなる事態が存立危機事態に該当するかは、我が国と密接な関係にある他国に対する武力攻撃が発生した場合、攻撃国の意思、能力、事態の発生場所、規模、態様、推移などの要素を総合考慮し、我が国に戦禍が及び蓋然性、国民が被る犠牲の深刻性、重大性などから客観的、合理的に判断する。※」
自衛隊法:「人命の救助に必要な手段(船員法14条)」として行われた事例がある。
PKO協力法:お尋ねの趣旨が明らかでなく回答が困難であるが、同法に基づき国際平和協力業務を行う場合、同法に定める5原則及びその他要件が満たされることが必要となる。
具体的な活動の法的根拠
哨戒活動:自衛隊は「所掌事務の遂行に必要な調査及び研究を行うこと(「防衛省設置法」に規定)」を根拠に、我が国周辺の海空域における警戒監視活動を実施している。
船舶検査活動:同法に基づく船舶検査活動は、「貿易その他の経済活動に係る規制措置であって我が国が参加するものの厳格な実施を確保する目的」で行われる。
※ 原文を一部修正し引用しました。
まだコメントが投稿されていません。
質問主意書名 : | ホルムズ海峡など公海又は他国領海における船舶攻撃に対する我が国の対応に関する質問主意書 |
提出先 : | 衆議院 |
提出国会回次 : | 199 |
提出番号 : | 2 |
提出日 : | 2019年8月1日 |
転送日 : | 2019年8月5日 |
答弁書受領日 : | 2019年8月15日 |