新型コロナの影響で収入が減った人のための生活支援策が早急に必要なのでは?

新型コロナウイルス感染症等の影響に対応するための休業者、離職者等の生活の支援に関する特別措置法案

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提出議員 :岡本 充功

新型コロナウィルスの影響で雇用情勢は緩やかに悪化の一途を辿っており、2019年12月には2.2%だった完全失業率は2020年8月には3.0%に数字を上昇させている。職者1人に対してどれだけの仕事があるのか示す有効求人倍率も、2020年8月の値は1.04倍と6年7ヵ月ぶりの低水準を記録している。

労働者が置かれている状況はとても過酷なものと言えるだろう。この状況を鑑み、新型コロナウィルス感染症の影響で休職や離職に追い込まれた人達の生活支援に関する法案が提出されたところだ。今回はこの法案の内容を詳しく解説する。


労働者生活支援給付金の支給

支給対象期間(注1)に入る前の直近3カ月間の平均賃金月額から、支給対象期間内の1カ月当たりの賃金が2割以上減少した労働者に対して、労働者生活支援給付金が支給される。支給額は減少前賃金の80%分までとの差額だ。ただし、支給額と賃金の合計が厚生労働省令で定める金額(注2)を越えないものとする。

<例>

①支給対象期間前の平均賃金月額

令和1年11月の賃金:30万

令和1年12月の賃金:28万

令和2年1月の賃金:32万


支給対象期間前の平均賃金月額=30万円

②基準額(①の80%)

30万円×80%=24万円

※基準額が16.5万円を下回る場合には16.5万円とする

③20%以上減った賃金

令和2年4月の賃金:15万

④支給額

②24万円ー③15万円=9万円

金額のイメージは持っていただけただろうか。つまり、休業や失業によってどんなに賃金が減少したとしても、平均賃金月額の8割の給料は確保できることになる。支給対象者は賃金が2割以上減少した全ての労働者だ。休業があっても無くても、大企業勤めでも中小企業勤めでも、パート・アルバイト・派遣労働者にいたるまで全ての労働者が対象となる。

注1:支給対象期間は2020年2月から政令で定める月まで

注2:減収後の賃金月額が33万円未満とする


失業手当の給付期間延長・給付金額アップ

仕事を失った人が利用できる生活支援制度として失業手当があるが、今回の法案では失業手当の給付期間延長・基本手当の割合アップという内容も盛り込んでいる。

まず、基本手当の所定給付日数を一律90日間延長する。現行制度では、退職理由(自己都合退職か会社都合退職か)や雇用保険加入期間・年齢によって給付期間が90日~360日に変動する方式を取っている。今回の法案が施行されれば、一律90日間延長なので、180日~450日に変更となる。

退職前6ヵ月間の平均賃金から基本日額が算出されるが、今回の法案では、基本日額の算定期間から新型コロナウィルスの影響で収入が減少した期間を除外する。また、現行では50~80%の間で決められていた支給割合を20%引き上げる。


臨時職業訓練受講給付金の支給

雇用保険を受給できない失業者は、ハローワークが行っている職業訓練を受講すれば、職業訓練給付金を受け取ることが可能だ。

本法案では職業訓練給付金の対象者に向けて、職業訓練給付金と同等額(10万円程度)の臨時職業訓練受講給付金を受け取れるという内容を盛り込んでいる。雇用保険に加入していないなどの理由で失業手当が受けられない失業者に対する生活支援策である。


生活保護審査の簡素化・合理化

生活保護実施機関に対し、支給対象者や扶養義務者の資産等の状況に関する調査等の簡素化・合理化を行う努力義務を課す。また、国に対しては、対象者が申請を行うまでの期間、短期的な資金の融通や生活支援を行う義務を新たに課す。


今回の法案、労働者にとっては非常に助かる内容であり、メリットしか無いだろうと感じるかもしれない。しかし、従業員の生活の心配は無くなるだろうと感じた事業主側が、安易にリストラや雇止めを行う危険が高くなるかもしれない。

今回の内容は労働者に限った支援策であり、個人事業主に対する給付金制度ではない。附則では「労働者と類する働き方をする個人事業主に対する支援策も検討する」と記載されているが、実際どのような支援策が策定されるかは今回の法案では述べられていない。

以上が本法案の内容だ。皆さんはどう思われるだろうか。

最新の賛成コメント

@restog

2021/05/22

今はたとえ強引でも適切な支援を届かせる必要があると思った。経済の回復は国民全体の経済水準が上がってからだと思った。

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@restog

2021/05/22

今はたとえ強引でも適切な支援を届かせる必要があると思った。経済の回復は国民全体の経済水準が上がってからだと思った。

@TONOさん3号

2021/05/19

今の状況ではピンポイントの支援も必要ではあるが現状を見極めた上でのGOTO事業も必要と考える。 今ある支給制度をより充実させることと周りを潤す二つの施策を並行して進めることが大事だと思います。

@m_kmtm@0101

2020/11/19

GoTO事業よりも、今回のように収入が減った人がピンポイントで支援を受けられる方が効果があると思う。個人事業主も一刻も早く、支援が受けられるようになってほしい。

@ichi369

2020/11/19

経済的な支援は、コロナ感染のリスクを減らすことにもつながると思う。できるだけ申請手続きを簡素化して、必要な方が無理なく支援を受けられるようにしてもらいたい。

@kimuu

2020/11/17

若い女性の自殺者が急増している現状からみても、1日も早くこのような支援策が必要なのではないでしょうか。

 詳細情報

議案件名 :新型コロナウイルス感染症等の影響に対応するための休業者、離職者等の生活の支援に関する特別措置法案 
提出国会回次 :201
議案番号 :17
議案種類 :衆法
提出議員 : 岡本 充功
提出日 :2020年6月5日
公布日 :
法律番号 :