同性婚を認める民法の改正に賛成ですか?

民法の一部を改正する法律案

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提出議員 :西村 智奈美

西村 智奈美議員ら5人による議員立法で、民法の一部を改正する法律案が提出された。その内容は、民法の条文で用いられている「夫婦」を「婚姻の当事者」に、「父母」を「親」に改めるというものだ。

一見すると、同じ意味の言葉に置き換えるだけの改正案だが、その意図は同性間の婚姻を認めるための法改正に向けて地ならしをすることにある。

民法の条文にある「夫婦」を「婚姻の当事者」に改める法律案の意図を分かりやすく解説してみたい。

民法には「夫婦」という言葉が30回、「父母」が35回使用されている

民法には家族法を中心に「夫婦」という言葉が30回、「父母」(「父又は母」という表現も含む)が35回登場する。西村 智奈美議員が提出した改正案は、そのすべてを列挙して「夫婦」は「婚姻の当事者」に、「父母」は「親」に改めることを求めている。

改正案の末尾には法案提出の理由として、現行法では婚姻は異性間によるものに限定されると解釈されるので、個人尊重の観点から同性間の婚姻も法制化される必要があるからだと記されている、

また、この法律の施行後3年をめどに、同性の婚姻中に出生した子どもの身分や生殖補助医療の在り方について検討を加え、必要な措置を講ずる必要があるとしている。


同性婚の法制化に向けた法案提出の背景

性指向や性自認におけるマイノリティへの理解は日本社会でも浸透しつつあり、身体的な性別に関わらず制服を自由に選択できる学校も増えている。

自治体も同棲カップルが住みやすい街づくりを推進するところが増え、2020年10月1日現在、全国の60自治体が「パートナーシップ制度」を導入し、13自治体が同性パートナーシップ証明書を発行している。

しかし、パートナーシップ制度は法律上の婚姻とは別もので、相続などでパートナーの権利は保証されない。自治体が条例などで同性婚カップルをある程度支援することはできても、根本的な解決は法改正によるしかないのだ。

世界では欧米を中心に法律で同性婚を認める国が2000年代に入って急速に増え、米国、イギリス、フランス、ドイツ、カナダ、オーストラリアを含む28カ国におよんでいる。(2020年5月時点「NPO法人EMA日本」調べ )


同性婚を法制化するには憲法改正が必要?

憲法24条1項には「婚姻は、両性の合意のみに基いて成立し、夫婦が同等の権利を有することを基本として、相互の協力により、維持されなければならない」とある。

この条項にある「両性」「夫婦」という言葉から、同性婚を法制化するには憲法を改正する必要がある、という議論もある。事実、安倍晋三元首相は2015年2月18日の衆院本会議で「現行憲法の下では同性カップルに婚姻の成立を認めることは想定されておりません」と述べている。

憲法学者の間でも意見は分かれるが、この条文の力点は「同等の権利」や「相互の協力」に置かれているのであり、「両性」や「夫婦」という言葉に、ことさら「男と女」を強調するニュアンスはない、という解釈が大勢を占めているようだ。

憲法第9条に「陸海空軍その他の戦力はこれを保持しない」と明記されていても自衛隊は容認されるお国柄なので、同性婚の法制化に憲法24条が大きな障害になるとは考えにくい。


同性婚を認めたら少子化、人口減に歯止めがかからない?

同性婚の法制化は少子化を加速させるという東京都足立区の区会議員の発言が、マスコミやSNSで炎上したのは記憶に新しい。白石正輝議員は2020年9月25日の区議会で少子高齢化に関連して「L(レズビアン)やG(ゲイ)が法律で守られているじゃないかという話になったら足立区は滅んでしまう」と発言し非難を浴びたのだ

同性婚を認めなければ出産が増えるわけでもなく、そもそも意味不明の発言なのだが、この発言に非難が集中した理由は、当該議員の「LやG」に対する差別意識を敏感に感じ取った人が多かったからだろう。

「夫婦」を「婚姻の当事者」に、「父母」を「親」に改めるこの法律案は、性的マイノリティの婚姻を法制化するための地ならしと同時に、男と女の社会的役割(ジェンダー)に対する差別意識をなくそうとする意図も含まれているかもしれない。

ただし、日常生活で「夫婦」や「父母」という慣れ親しんだ言葉を使わないようにしようということでは、もちろんない。

最新の賛成コメント

@なんたん

2021/06/21

私たちが何気なく使う言葉には性差別と捉えかねない言葉があって、制服だってなんとも思ってなかったが、それを苦に思う人もいますよね。当事者の意見を入れつつ社会を整えて欲しいです。

最新の反対コメント

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@なんたん

2021/06/21

私たちが何気なく使う言葉には性差別と捉えかねない言葉があって、制服だってなんとも思ってなかったが、それを苦に思う人もいますよね。当事者の意見を入れつつ社会を整えて欲しいです。

@だるばーど

2020/12/26

同性婚に反対する人と何が同性婚を認めることで脅かされるのでしょうか。ただ好きな人と結婚したい人たちの権利が守られるだけで、反対する人たちに対して外はないのになぜこんなにも整備が進まないのか残念でなりません。しかも、同性婚を認めることと少子化や出産の減少は全く別な問題だと思います。

@restog

2020/12/12

これだけ社会でLGBTQに関して理解が進んできているので、法律の改変も柔軟に対応してほしいと思う。

@kimuu

2020/11/17

「同性婚を認めることに何の障害があるのだろう」と純粋に疑問。ジェンダーレスや多様性を学校で教えているのに、このあたりが政治的に進まないのはどうしてなんだろう。世代間ギャップを感じる。

@westman

2020/11/13

このようなマクロのトレンドは抗えるものではないと思います。いままでの文化や習慣とは異なる点もありますが、すでに自治体も実態としては同性婚を認めているのですから、法的に同性婚を認めるのも時間の問題ではないでしょうか。

 詳細情報

議案件名 :民法の一部を改正する法律案 
提出国会回次 :198
議案番号 :15
議案種類 :衆法
提出議員 : 西村 智奈美
提出日 :2019年6月3日
公布日 :
法律番号 :0