独立行政法人大学入試センター法の一部を改正する法律案

出典:文部科学省HP
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提出議員 :川内 博史

大学入学共通テストは、センター試験に代わり、2021年度から導入が予定されている日本の大学共通の入学試験である。しかし、導入しようにも試験の内容がまだ詰められていない点が多い。記述式試験や英語民間試験を導入するかといったところが議論の焦点だ。

この点、政府の判断が二転三転して受験生や教師に混乱を与えたことが問題視されたところでもある。この度、議員立法で衆議院に提出された大学入試センター法の一部改正案は、記述式試験や民間英語試験の導入を否定するものである。法改正の内容を詳しく見ていくとしよう。

大学入学共通テストは、センター試験に代わり、2021年度から導入が予定されている日本の大学共通の入学試験である。しかし、導入しようにも試験の内容がまだ詰められていない点が多い。記述式試験や英語民間試験を導入するかといったところが議論の焦点だ。

この点、政府の判断が二転三転して受験生や教師に混乱を与えたことが問題視されたところでもある。この度、議員立法で衆議院に提出された大学入試センター法の一部改正案は、記述式試験や民間英語試験の導入を否定するものである。法改正の内容を詳しく見ていくとしよう。


記述式試験は実施せず多肢選択式へ

大学入学共通テストにおける記述式試験の導入中止は、今回の法改正の柱の一つである。思考力や判断力を測るという意図から大学入学共通テストに記述式試験を導入する施策は目玉とされていたが、同時に「公平・公正な採点が困難」「受験生の自己採点が困難」という2点が問題視されていた。

記述式では、採点者ごとにばらつきが出るのは避けられない。共通テストは規模が大きく、アルバイトによる採点が行われる予定だという点も鑑みると、採点の公平性・公正性に関しては疑問の声が多く挙がっていた。

記述式試験自体はとても意義があるものだが、試験の特性上、共通テストで実施するのは正直厳しいと考えられる。

そこで、今回の法改正ではマークシート式の「多肢選択試験」とするという文言が盛り込まれた。多肢選択式試験であれば、採点者による採点結果のばらつきや恣意的な評価がなされる危険は無くなる。もちろん、本改正は、二次試験など各大学の試験で記述試験を導入することを妨げるものではない。


民間英語試験の活用は中止に

グローバル化の波を受け、英語教育の重要性は今まで以上に高まっている。現在の英語の試験では、英語を実際に用いる際に必要な「話す」「読む」「書く」「聞く」という4つの能力全てを測ることが難しい。

例えば、従来のマークシート式の試験では、読む力を評価できるが、書く力に関しては判断できない。リスニング試験でも分かるのは聞く力のみで、話す力は判断できないだろう。

この問題の解決のため、英検やTOEFL・TOEICといった民間試験を活用すべきではという意見が出て、あと一歩で実用化というところまで話が進んだ。しかし、民間英語試験を大学入学共通テストに使用すると、以下のような問題が生じるため、見送りとなった。

  • 地方在住と都市部在住で、試験の受けやすさに違いが生じる
  • 目的や難易度が異なる試験で、画一的に成績を測ることになってしまう

民間試験の多くは、東京や大阪といった主要都市で実施される。このため、離島など地方在住の場合、都市部在住者と比べ試験が受けにくい。試験会場に出向く交通費も自腹で負担するため、経済的格差も生じてしまう。更に、英語民間試験はそれぞれ目的や難易度が異なるものであり、「統一的に考えるのが適していないのでは?」との声もある。

制度の不明確さも合わさって、高校生や教師から不満・不安の声が続出したこともあり、大学入学共通試験における民間英語試験の活用は延期された。民間英語試験の導入の是非をめぐり、教育現場に大混乱が生じたのは事実である。

今後、こういった事態を生じさせないために、民間英語試験の導入を延期ではなく「中止」にすべきとの考えから、今回の改正では「民間英語試験を大学入学共通テストでは活用しない」という趣旨の文言が追記された。ちなみに、共通テストでの見送りを受け、国公立大学の2次試験においても、民間英語試験の活用を見送るケースがほとんどである。


JAPAN e-Portfolio事業廃止

JAPAN e-Portfolio(ジャパンeポートフォリオ)は、生徒のポートフォリオと大学ネット出願システムを結び付けるシステムのこと。

主体性や多様な人々と協働して学ぶ態度といった面を適切に評価できるとして、大学入試への活用が期待されていた。ポートフォリオには留学などの課外活動によって得た経験や制作物も掲載できる。

しかし、「特別な経験を強制しているようで、個人の自由な意思による活動を阻害する」といった意見や、経済的理由から留学などの選択を取れない学生が不利になるといったマイナス面を指摘する声も挙がっていた。

今回の改正では、大学入学共通テストにJAPAN e-Portfolioを活用しないというだけでなく、JAPAN e-Portfolioの事業自体が廃止となる。2020年7月31日に、文部科学省は運営機関に対し運営許可を取り消す方針を明らかにした。

ただし、この決定はあくまでも見直しの一環であり、高校生の学校内外における諸活動を記録したデータベースを、入試の評価に利用するとする考えを妨げるものではない。

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 詳細情報

議案件名 :独立行政法人大学入試センター法の一部を改正する法律案 
提出国会回次 :201
議案番号 :4
議案種類 :衆法
提出議員 : 川内 博史
提出日 :2020年3月5日
公布日 :
法律番号 :