児童虐待防止法に体罰禁止を規定することと民法第八百二十二条との関係に関する質問主意書

提出議員 : 初鹿 明博

厚生労働省は、今国会提出の児童虐待関連法案に体罰禁止の規定を盛り込む方針を固めたと報道されている。 民法は第822条で親の「懲戒権」を認め、政府は「懲戒権に一部体罰が含まれる」との答弁(2000年の特別委員会での法務省民事局長)をいまだに維持をしている。このことから、児童虐待防止法に体罰の禁止を規…

厚生労働省は、今国会提出の児童虐待関連法案に体罰禁止の規定を盛り込む方針を固めたと報道されている。
民法は第822条で親の「懲戒権」を認め、政府は「懲戒権に一部体罰が含まれる」との答弁(2000年の特別委員会での法務省民事局長)をいまだに維持をしている。このことから、児童虐待防止法に体罰の禁止を規定しても、体罰が「しつけ」目的で行われることは防げない。
そもそも、体罰を受けた子供は、将来問題解決の手段として自らが暴力を用いるリスクがあり、体罰は教育上子供に悪影響を及ぼすものでしかないが、政府はどのように認識しているのか。

  • 政府見解では「民法822条の懲戒権に体罰は含まれる」とされている。この見解を維持することと、児童虐待防止法に体罰禁止規定を盛り込むことは、互いに矛盾するのではないか。

  • 児童虐待防止の徹底には、親の懲戒権を定めた民法第822条の削除が必要である。同条文の削除に向け、政府は法制審議会での議論を始め、早急に結論を出すべきではないか。また、それまでの間、民事局長の答弁を撤回し、有形力の行使であるいかなる体罰も、同条の「懲戒」には当たらない旨を明確にするべきではないか。

  • 政府は、「子どもの利益になるのであれば、教育上の体罰も必要である」旨の答弁をしているが、どのような具体的事例があるのか。また、体罰が子どもにもたらす利益と教育上の必要性を明らかにするべきではないか。

  • 現在、児童虐待の防止等に関する法律の改正内容について検討を行っている段階であり、質問への回答は困難である。

  • 民法第822条については、今後必要な検討を行うが、検討の具体的な進め方は決まっていない。
    「懲戒」として「体罰」が許容されるかは、「親権者による体罰」を定めた規定が現行法上ないため一概に回答するのは困難である。
    「懲戒※」に「有形力の行使」が該当するかは、「その時代の健全な常識により判断されるべきもの」と考えられる。※ 子の教育および監護に必要な範囲内の懲戒

  • 「監護および教育に必要な範囲内の懲戒(民法820条)」にどのような行為が該当するかは、個別の事案によって判断されることになるが、例えば、子どもが他人に危害を加えようとしたとする。親権者の注意も聞かず子がその場を立ち去ろうとし、その手を取って親権者が説教を続ける行為などは、監護および教育上必要な範囲内の懲戒に含まれると考える。

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 詳細情報

質問主意書名 :児童虐待防止法に体罰禁止を規定することと民法第八百二十二条との関係に関する質問主意書 
提出先 :衆議院
提出国会回次 :198
提出番号 :73
提出日 :2019年3月4日
転送日 :2019年3月11日
答弁書受領日 :2019年3月15日

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