一定の要件を満たす事業所に現在認められている書面による介護報酬の請求が、2018年4月以降は新規の請求は認められなくなる。介護報酬の請求件数が少ない医療機関には、電子請求の負担は大きく、いまだに書面請求のニーズは強い。新規の書面請求を認めないことは、要介護者に訪問医療で新規に取り組もうとする医療機…
一定の要件を満たす事業所に現在認められている書面による介護報酬の請求が、2018年4月以降は新規の請求は認められなくなる。介護報酬の請求件数が少ない医療機関には、電子請求の負担は大きく、いまだに書面請求のニーズは強い。新規の書面請求を認めないことは、要介護者に訪問医療で新規に取り組もうとする医療機関に新たな負担を負わせることになり、結果的に、在宅医療の普及を妨げる要因となる可能性があり、政府の方針を再検討するべきではないか。
全国保険医団体連合会の調査によると、2017年10月審査分で23都道府県の3593件の医科医療機関、2774件の歯科医療機関が書面請求を行っているという。
電子請求に必要なソフトを動かすためのコンピュータや運用費用のコストと、得られる収入を比較すると、居宅療養管理指導の算定件数が月に数件程度の多くの医療機関にとっては、書面請求の方が費用・手間両面において容易だと考えられる。政府は医科、歯科、保険薬局、それぞれについての書面請求の状況を把握しているのか。
新規の書面請求を認めない理由について、厚生労働省は「審査上の多大な労力」と説明しているが、現に書面請求が認められている事業所には、2018年4月以降も書面請求の継続が認められるため、大きな負担になるとは思えない。新規の書面請求を認めなければ、介護報酬の請求をあきらめる医療機関がでてくることも予想され、要介護者への訪問診療等在宅医療の提供を阻害しかねないのではないか。
また、電子請求の免除申請を3月中に行わなければ、現在書面請求を行っている事業所についても4月以降の請求が認めなくなることが十分に周知されておらず、混乱の広がりが懸念されるのではないか。
厚生労働省ははケアマネジャーと医師、歯科医師の連携を進めようとしている。その連携を財政面から支える居宅療養管理指導に対し、電子請求を強要してさらなる負担を求めることは、厚生労働省のこの方針とも矛盾するのではないか。
「 “書面請求の状況” の意味するところが必ずしも明らかではないが※」、国民健康保険団体連合会が2017年12月に行った介護給付費、公費負担医療などに関する費用の請求審査によると、介護給付費等を請求した医科、歯科、薬局のうち書面による請求をしたものが占める割合は、医科34%、歯科59%、薬局42%、また、介護給付費等の請求の件数に占める書面による請求の割合は、医科11%、歯科23%、薬局17%であると認識している。
「新規の書面請求を認めない」という方針については、2014年から事業者に対し周知を進めているとともに、電子請求について必要な支援を行うソフトウェアを国民健康保険団体連合会から無償で提供するなどの措置を行っている。
必要な措置等を行っていることから、「新規の書面請求を認めないことが訪問診療等在宅医療の普及を妨げる要因になる」とのご指摘には当たらないと考えており、方針の再検討は考えていない。
※ 原文を加工の上引用しました。
@TONOさん3号
2021/06/20
個人的には色んな場面で書類を使うこと。紙で残すことは案外大切だと思います。ただこの先の管理とか人件費とかを考えるとシフトして行かないといけない。 手間から言うと電子請求の方が断然早く楽だと思う。その方向に進むのはやむを得ない。ある程度期限も決めて行かざるを得ない。
質問主意書名 : | 介護報酬の書面請求の廃止が訪問診療に及ぼす影響に関する質問主意書 |
提出先 : | 参議院 |
提出国会回次 : | 196 |
提出番号 : | 5 |
提出日 : | 2018年1月24日 |
転送日 : | 2018年1月29日 |
答弁書受領日 : | 2018年2月2日 |