麻生金融担当大臣は、金融審議会の市場WG(ワーキング・グループ)が2019年6月3日に公表した報告書(「高齢社会における資産形成・管理」)について、「正式な報告書としては受け取らない」と発言した。 このように本報告書を「正式な報告書」ではないとすることが可能なのか。政府方針に沿わない報告書を受け取…
麻生金融担当大臣は、金融審議会の市場WG(ワーキング・グループ)が2019年6月3日に公表した報告書(「高齢社会における資産形成・管理」)について、「正式な報告書としては受け取らない」と発言した。
このように本報告書を「正式な報告書」ではないとすることが可能なのか。政府方針に沿わない報告書を受け取らないのであれば、今後の審議会での議論が萎縮するのではないか。
本報告書の作成および公表に際し、法令等に反する等の手続的な瑕疵があったのか。過去に、法的根拠をもって設置された審議会が公表・提出した報告書や答申が、大臣に受け取られなかった事例はあるのか。
麻生金融担当大臣は、本報告書について「金融審議会の総会を経て正式に公文書になる前の文書」と発言した。金融庁は金融審議会の総会を経ていない報告書は、「正式な報告書」として取り扱わないのか。
また金融担当大臣が報告書の受取を拒むことは法令上可能なのか。
審議会の意義は、行政の意思決定に行政の外側にいる人々の提言を取り入れることにある。政府の見解や施策と異なる内容が報告書や答申に含まれても、それを前向きに勘案することが省庁に求められる姿勢ではないか。
麻生金融担当大臣は「政府の政策スタンスと違うものは受け取れないという判断」と発言したが、この発言は審議会での自由闊達な議論の萎縮、政府の見解や施策と異なる内容の報告書への反映の忌避、審議会の議論や報告書への国民の信頼を失墜させるのではないか。
本報告書について手続き的瑕疵はなかった。また、報告書が大臣により受け取られなかった事例の有無については、調査に膨大な時間を要すため回答が困難である。
WGは金融審議会の下に設置されている下部組織であり、下部組織の報告書は金融審議会の了承を経ることで、正式な報告として取り扱われる。
なお、金融担当大臣が、審議会の了承を経ていない下部組織の報告書を受け取らなければならい旨を定めた規定はない。
審議会はそれを設置する行政機関が、その所掌事務の範囲内で学識経験者等の合議により処理することが適当な事務をつかさどらせるために設置されるものである。
金融担当大臣の発言は、本報告書が世間に著しい誤解や不安を与えまた政府の政策スタンスとも異なる為、政府としては正式な報告書として受け取らず、今後の政策遂行の参考ともしないことを述べたもので、審議会での自由闊達な議論を抑制するものではない。
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質問主意書名 : | 審議会等の答申や報告書等の受領拒否に関する質問主意書 |
提出先 : | 参議院 |
提出国会回次 : | 198 |
提出番号 : | 70 |
提出日 : | 2019年6月12日 |
転送日 : | 2019年6月17日 |
答弁書受領日 : | 2019年6月21日 |