「Go To トラベル」キャンペーンに関する質問主意書

提出議員 : 西村 智奈美

新型コロナウイルス感染症の対応として、2020年4月30日に成立した一次補正予算に「Go Toトラベルキャンペーン」が盛り込まれている。

本キャンペーンは順調に進んでいるとは言えず、元々想定していた運営事業者への委託費が高すぎると問題視されたことで、政府は事業者の公募をやり直すといった経緯がある。

また、6月現在でもキャンペーンの詳細は明らかになっておらず、事業者や消費者の混乱を招いている。政府からの公表をもとにJATA(一般社団法人日本旅行業協会)がキャンペーンの内容をアナウンスし、事業所が先取りして消費者向けの広報を行っているが、政府からの公表内容がスキームを正しく表していないのではないかという指摘もある。

西村智奈美議員は政府による詳細な説明が必要とし、キャンペーンの内容が明らかになるスケジュールや事業の詳細について政府に質問した。詳しく見ていこう。


GoToキャンペーン事業の目的と概要

「GoToトラベル」は新型コロナウイルス感染症の収束後の経済活性化政策である「GoToキャンペーン事業」のうちのひとつだ。

「GoToキャンペーン事業」全体では、補正予算から1兆6794億円が計上されている。

  1. Go To Travel キャンペーン(観光)
  2. Go To Eat キャンペーン(飲食)
  3. Go To Event キャンペーン(イベント・エンターテインメント)
  4. Go To 商店街 キャンペーン

「GoToキャンペーン事業」は上記のように順次その内容が公開され、実施されていく予定であるが「GoToトラベル」がその皮切りである。


Go Toトラベルの詳細はいつ明らかになるのか

Go Toトラベルの詳細が明らかにならなければ、事業者は観光客受け入れ体制を整えることができない。キャンペーンの詳細はいつ明らかになるのだろうか。公表スケジュールを確認するところから議員は質問を始めている。

答弁:事業の詳細を公表する時期は、現時点でお答えできない。なお、国土交通省においては、6月16日に現時点での事業案を公表し、運営業務を行う事務局の公募を開始したところ。

今回のキャンペーンで高額な委託費に批判が集まったことにより、これまで経済産業省が一括していた事業費は国土交通省、農林水産省と3分割することとなった。16日は国土交通省が公募を開始したが、同省の委託費は2,294億円と依然高額なままだ。


地域共通クーポンと割引料金の説明は適切か

国が4月に公表した補正予算案関係資料では、すでにGo Toトラベルキャンペーンの事業イメージが示されている。JATAからのアナウンスでも、「1泊2万円の場合、10,000円が補助額、内訳は旅行代金の割引が7,000円、現地利用クーポン3,000円となり、旅行代金の支払額は13,000円となるという利用イメージが旅行代理店のホームページなどで示されている。

この料金体系について、地域共通クーポンの3,000円を望まない消費者も支払額は13,000円となるのだろうか。例えば、全食事・観光付き参加者であれば共通クーポンの使い道が見当たらないが、この場合も支払額は変わらないか西村議員は確認のための質問をした。

答弁:「Go Toトラベル」は、旅行・宿泊料金の割引と旅行先の地域で使用できる「地域共通クーポン」を合計し、1人1泊2万円、日帰りで1万円を上限とし、旅行・宿泊料金の2分の1相当額を支援することを検討している。

つまり、消費者は半額料金だけ支払うということはできず、現金の割引額とクーポンの付与によって半額になる仕組みが検討されているということだ。


旅行代理店等は消費者にキャンペーン内容をどう説明するべきか

今回のキャンペーンは料金体系がやや複雑で、一見したところ、料金自体が支払い時に半額になるように見える。しかし、西村議員が説明を求めた通り、キャンペーンでの「2分の1補助」とは地域共通クーポンを含めたものであり、現金の支払い自体は半額にはならない。

このことに関して小西議員は、旅行代理店は地域共通クーポンと旅行代金割引を分けて説明するべきであり、そうしなかった場合消費者行政から見たときどのような問題があるのか説明を求めた。

答弁:一般的に、旅行業者等に対しては、消費者保護の観点から、旅行業法第十二条の四に規定する取引条件の説明等の義務が課されている。

旅行業法第12条の4では、旅行業者は旅行者と取引の条件について旅行者に説明しなければならないことが定められている。また、旅行業者に説明をする際は、同法第12条の4の2項により、国が定める事項を記載した書面を旅行者に交付しなければならないと定められている。

つまり、今後キャンペーンを行う際には、旅行業者は割引や地域共通クーポンの仕組みについても説明する書面を作成、交付する必要があるという趣旨の答弁である。


「Go To トラベル事業」のこれから

西村議員の質問に対する政府の回答はあまり具体的なものではなかった。旅行代金割引とクーポンのわかりやすい説明を消費者に示すことや、事業の具体的な日程の公表は急務であろう。

また新型コロナウイルスに対する懸念もある。6月中の感染者数は下火になっているとはいえ、首都圏に比べ病床が比較的少ない地方自治体においては、医療崩壊を招くリスクもある。

クラスター(集団感染)が多い地域への往来であっても割引が適応されるのかなど、まだ議論の余地はありそうだ。巨額の税金を費やしているからこそ、政府には透明性のある議論と国民に対する説明責任を期待したい。


@kimuu

2020/09/16

結局、東京除外して大きな経済効果もなく…GoTo事業はどうなってしまうんでしょうか。

 詳細情報

質問主意書名 :「Go To トラベル」キャンペーンに関する質問主意書 
提出先 :衆議院
提出国会回次 :201
提出番号 :269
提出日 :2020年6月12日
転送日 :2020年6月17日
答弁書受領日 :2020年6月26日

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