質問主意書に対する政府の答弁拒否の横行に関する質問主意書

提出議員 : 小西 洋之

国会答弁には常套句がある。「お尋ねについては、 ・・・ の趣旨が明らかではないため、お答えすることは困難である。」「お尋ねの ・・・”の意味するところが明らかではなく、お答えすることは困難である」といったフレーズで始まる答弁は、いわゆるゼロ回答と言われるものだ。

議員の質問に答えない答弁が多発していることを追及しているのが、今回の小西議員の質問である。質問主意書を取り巻く現状には、一体どのような問題があるのだろうか。

ゼロ回答が目立つ答弁書

質問主意書とは、国会開会中に国会議員が内閣に対し質問することができる「文書」のことである。内閣は質問に対する回答は「答弁書」としてまとめられ、閣議決定を経て議員に提出される。

この答弁書の内容について小西参議院議員は、「趣旨が明らかではないため、お答えすることは困難である」や「意味するところが明らかではなく、お答えすることは困難である」といった文言が並び、第二次安倍政権では、内閣が質問に答えていないケースが多いことを指摘している。

さらに、回答をしないのであれば、その場合の判断基準が一体何であるのか、また前述の文言は都合の悪いことに回答しないための常套句なのではないかと、政府の対応を厳しく追及している。質問主意書に対する答弁書の作成は、政府による国民への説明責任を果たすものである以上、政府は答弁書の作成を厳格に審査し判断すべきだとしている。


小泉政権下では機能していた答弁内容の内閣法制局審査

小西議員は小泉政権下の2004年に総務省に勤めていた経験から、内閣法制局において質問主意書の審査で答弁に漏れがないか厳しく審査されていたはずだとし、安倍政権下でも答弁について適正な審査が行われているのかどうか、疑問を投げかけている。また、意図的に答弁拒否をした場合やそれを内閣法制局が容認した場合、担当した内閣法制局の担当参事官らは懲戒処分の対象とすべきであると主張している。

これに対し内閣は、「質問主意書に対して国会法に基づきこれまで誠実に回答してきた」と主張。担当省庁が内容を吟味した結果に応じた回答をしており、意図的に回答しないわけではないという。また、指摘された懲戒処分については「国家公務員法に則り施行される」と回答するにとどまった。


答弁書作成の負担を心配する声も

質問主意書が提出されると内閣は土日を含む7日以内に答弁書で回答する義務がある。多くの過程を経るため担当職員にとって日程は非常に短い。第201回国会(2020年1月20日〜6月17日)でその件数をみると、衆議院で276件、参議院で196件にのぼった。提出される数も制約がないため、答弁書作成の担当者にとって負担が大きいとも言われている。

しかし、無所属の議員や少数派の会派に所属する議員にとって、質問主意書は内閣の考えを問うための有力な手段ともなっている。委員会などでは所属政党や会派により質問時間が左右され、充分な質問の機会があるとは言い難いからだ。 確かに、答弁書作成者の負担を主張する声もあるが、当たり障りのない答弁書の作成に手間をかけるのであれば、本末転倒であろう。


質問主意書は内閣の考えを知る有効な手段であるが、それはあくまでも答弁書の質に依存するのではないだろうか。国会議員が国民を代表して質問している以上、内閣にも誠意をもって答弁を行うことが当然期待される。 しかし、小西議員が指摘するように、「趣旨が明らかではないため、お答えすることは困難である」や「意味するところが明らかではなく、お答えすることは困難である」という文言が多用される答弁書には、国民に何かを伝えようとする誠意は感じられない。 答弁書を通じて、その内閣がどのように国民に向かい合おうとしているのかも、見て取れるのである。


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 詳細情報

質問主意書名 :質問主意書に対する政府の答弁拒否の横行に関する質問主意書 
提出先 :参議院
提出国会回次 :201
提出番号 :193
提出日 :2020年6月17日
転送日 :2020年6月17日
答弁書受領日 :2020年6月30日

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