政府は2017年12月19日の閣議決定において、北朝鮮からの差し迫った脅威に備えるためにイージス・アショア2基の配備を決定したが、その後2018年の南北首脳会談や米朝首脳会談で、朝鮮半島の完全な非核化が目標とされた。こうした朝鮮半島情勢の変化は日本におけるイージス・アショアの配備計画や今度の北朝鮮…
政府は2017年12月19日の閣議決定において、北朝鮮からの差し迫った脅威に備えるためにイージス・アショア2基の配備を決定したが、その後2018年の南北首脳会談や米朝首脳会談で、朝鮮半島の完全な非核化が目標とされた。こうした朝鮮半島情勢の変化は日本におけるイージス・アショアの配備計画や今度の北朝鮮への対応等にも影響があるのではないだろうか。
政府は北朝鮮の弾道ミサイル発射を想定した住民避難訓練を当面の中止を決定し、菅官房長官は中止の理由を「米朝首脳会談の成果の上に立って」としている。具体的に米朝首脳会談の成果のどの点によって住民避難訓練の中止が決定されたのか。
政府は防衛計画の大綱や中期防衛力整備計画にないイージス・アショアの導入を、脅威・緊急性の認識があるとして閣議決定した。米朝首脳会談の結果を受け「安全保障上極めて厳しい状況は緩和された」(菅官房長官)、「弾道ミサイル実験がすぐに行われる可能性は低い」(小野寺防衛大臣)などの発言がなされたが、脅威と緊急性に対する政府の認識は米朝首脳会談の前後でどう変わったのか。
なお、イージス・アショア2基の配備候補地は秋田県と山口県の陸上自衛隊演習場としているが、現時点で調査目的も含め、配備に向けた整備・工事等は一着手されているのか。
今後北朝鮮に対する圧力の緩和や経済支援の可能性はあるのか。可能性があるとすればその条件は何か。
また安倍内閣総理大臣は日朝首脳会談の実現に意欲を示しているとのことだが、日朝首脳会談では日本を射程に収めるミサイルの廃棄を求めるのか。さらに、ミサイル廃棄の方向性が見えた場合、イージス・アショアの配備計画の変更もあり得るのか。
首脳会談で金正恩国務委員長がトランプ大統領に朝鮮半島の「完全な非核化」について自ら署名し文書の形で直接約束した意義は大きい。この成果のもと、今度も北朝鮮に国連安保理事会決議の完全な履行を求め、北朝鮮の具体的な行動を見極める必要があると考えている。
住民参加型避難訓練は弾道ミサイルの発射が行われていない状況等を勘案し当面実施を見合わせるが、訓練方法の一部を全国瞬時警報システムによる情報伝達方法や弾道ミサイル落下時の行動の周知に重点を置くようを見直したにすぎず、いかなる事態でも対応に万全を期す考えに何ら変化はない。
イージス・アショア導入の閣議決定時の政府見解は米朝首脳会談前後で変化はなく、政府は陸上配備型イージス・システムの可及的速やかな導入への取組を進めていく。
なお、陸上配備型イージス・システムは防衛上有効な場所に配備できるか否かの確認が必要であり、2018年度予算で地質・測量調査や施設の基本設計等に必要な経費を計上し、6月21日に配備候補地の調査および施設の基本設計に係る入札公告を行った。
政府は日本の対北朝鮮措置の在り方について、拉致・核・ミサイルといった諸懸案をめぐる北朝鮮の対応や国際社会の動きを総合的に勘案し、不断の検討を行っている。
北朝鮮との関係に関する政府方針は日朝平壌宣言に基づいており、経済協力は国交正常化交渉で具体的な規模と内容を協議し、国交正常化の後に行っていく。これ以上の詳細は今度の対応に支障をきたすので、回答を差し控える。
なお、日朝首脳会談については仮定の質問であり、回答は差し控える。
まだコメントが投稿されていません。
質問主意書名 : | 朝鮮半島情勢の変化とイージス・アショア配備に関する質問主意書 |
提出先 : | 衆議院 |
提出国会回次 : | 196 |
提出番号 : | 407 |
提出日 : | 2018年6月26日 |
転送日 : | 2018年7月2日 |
答弁書受領日 : | 2018年7月6日 |