臨時会召集要求に関する質問主意書

出典:参議院HP

提出議員 : 辻元 清美

立憲民主、国民民主、共産、社民の4党と無所属議員の有志は、7月31日に臨時国会の召集を求める要求書を提出した。新型コロナウィルス感染の再拡大に豪雨災害など、国会の場で審議すべき課題が山積みだからだ。

国民の生活が脅かされている状況下にもかかわらず国会を開かないということは、政府はコロナ対策を放棄しているのだろうか。実は、安倍政権が臨時国会召集要求を蔑ろにするのは今回が初めてではない。過去に2回も臨時国会要求を蔑ろにしている。

政府の怠慢ともいえる対応に対し、辻元議員がどのように追求したのか見ていこう。


臨時国会召集決定は法的義務であると判決を下した那覇地裁

2017年当時の国会審議は加計学園や森友・加計学園学園問題(通称:モリカケ)一色であり、審議が滞る場面も見られた。国会閉会後、さらなる追求のため臨時国会の召集要求を安倍首相は3ヶ月間放置。その後、召集決定したが冒頭解散し、4カ月も経った11月に国会が始まった。この事態を受けて沖縄県選出の国会議員等は訴訟を起こし、国に損害金の一部である4万円などを請求した裁判である。

裁判では以下の争点が争われた。

  1. 臨時国会召集決定が憲法53条に違反するかどうかを判断する際に、裁判所の司法審査権が及ぶか
  2. 臨時召集し審議入り前に衆院を解散したことは違法となるか
  3. 98日後の招集では、憲法53条に定める適当な期間に該当しないのではないか

憲法53条では、総議員の4分の1以上の要求があれば、内閣は臨時国会召集を決定しなければならないと定められている。そこで、辻元議員は、憲法第53条後段に定める臨時会召集要求の趣旨をどう考えているかという質問から始めた。

答弁:お尋ねについては、現在、係属中の訴訟の内容に関わる事柄であることから、お答えすることは差し控えたい。

那覇地裁の判決では損害賠償は棄却されたが、臨時国会の召集は法的義務であるとした。


臨時国会の召集決定は20日以内が妥当では

2012年の日本国憲法改正草案では、召集要求があった場合における臨時会の召集期限を20日以内とする改正案を策定している。このことから、要求後20日以内に召集決定をするのが妥当ではないのか言及した。

さらに、「憲法改正に関する議論の状況について」という自民党文書内で、憲法改正の必要性に関するセクションでは、首都直下地震や津波などへの対応を迅速に行う必要があり、憲法に緊急事態規定を明記し、次のような対応が適切だと書かれている。

  1. 緊急事態においても国会の機能を可能な限り維持すること
  2. 国会の機能が確保できない場合に行政機能を一時的に強化し迅速に対処する仕組みを設けること

緊急事態時に、国会が担うべき政府監視機能の重要性をどう考えているかについても合わせて質問している。

答弁:臨時会の招集期限を20日以内とする改正案、「憲法改正に関する議論の状況について」は自民党の文書であり、政府としてこれらの文書を前提とした回答する立場にはない。

政府の答弁では、自民党の内部文書で書かれていることを理由に回答を避けた形だ。前述した那覇地裁の判決でも、98日後の召集が適切な機関といえるのかどうか名言はされていない。


臨時国会を開かないのは政府の怠慢ではないのか

4~6月期の国内総生産(GDP)成長率は戦後最悪の落ち込みとなり、年換算では27.8%減でリーマンショック後より最悪な事態だ。新型コロナウイルス感染症に関連する解雇や雇い止めは4万5千人を突破し、宿泊業や飲食業といったサービス業だけでなく製造業での解雇も増加している。

緊急事態ともいえる状況下で、野党だけでなく知事や医療関係者からも、新型コロナ特措法の早期改を望む声が上がっている。ツイッターでは「#臨時国会の開催を求めます」というハッシュタグがトレンド入り。いつまで放置し続けるのか、さらなる追求を望む。


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 詳細情報

質問主意書名 :臨時会召集要求に関する質問主意書 
提出先 :衆議院
提出国会回次 :201
提出番号 :270
提出日 :2020年6月12日
転送日 :2020年6月17日
答弁書受領日 :2020年6月26日

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