自治体システムを国指定仕様に統一する法案に賛成ですか? 自治体の声はどこまで反映されるのか

地方公共団体情報システムの標準化に関する法律案

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提出者 :内閣

今回はデジタル改革関連法案6法案の1つ、地方公共団体情報システム標準化に関する法案について解説します。

昨年、政府による一律10万円の「特別定額給付金」の支給が行われました。しかし、大都市を中心に支給作業の遅れが問題となりました。マイナンバーカードを活用したオンライン申請を処理するための、システム対応が間に合わなかったことが主な要因と考えられています。というのも、現在、自治体によってシステムのフォーマットや機能がバラバラで、各自治体が独自でシステムの整備を行っています。特に大都市では大規模なシステムを整備するため、時間を要してしまったのです。

このような問題を解決し、行政サービスを効率化するために提出されたのが本法案です。詳しい内容を見ていきましょう。


コロナ禍で浮き彫りになった自治体のデジタル化の遅れ

コロナ禍の緊急経済対策の定額給付金においては「支給が遅れる」「自治体間で支給までのスピードに差が生じる」などの不都合が生じました。

各自治体で異なるシステムを使っており、データ形式や業務フローなどが違うため、全国一斉に行政サービスを展開する場面ではどうしても対応のスピードに差が出てしまうからです。

各自治体でシステムの仕様等が異なるのは、憲法で定められた「地方自治」のもと、それぞれの自治体が独自にITベンダーに業務発注しているからです。他の自治体と調整をはからず自らの希望でシステム製作を外注しているため、特別定額給付金の支給に対応するためには各自治体がそれぞれのシステムに応じた整備をしなければならなかったのです。


行政デジタル化の鍵「自治体システムを国指定の仕様に統一」

前述の通り、システムが自治体ごとに異なる状況であるために、特別定額給付金の支給において混乱が生じました。現状改善のために、本法案では自治体の情報システムを国指定のフォーマットに統一することを定めています。ただし、システム標準化の対象となる業務は自治体における全業務ではありません。

対象範囲は各自治体の事務処理における内容の共通性・住民の利便性向上・行政運営の効率化の観点から、政令で定めることとしています。検討段階では児童手当や住民基本台帳、固定資産税など17の業務が抽出されました。

検討段階の17の業務
児童手当、住民基本台帳、選挙人名簿管理、固定資産税、個人住民税、法人住民税、軽自動車税、就学、国民健康保険、国民年金、障害者福祉、後期高齢者医療、介護保険、生活保護、健康管理、児童扶養手当、子ども・子育て支援

この対象17項目はあくまで検討段階のものなので、政令の内容次第では17以上の業務が対象となる可能性もあります。

これまで自治体間で統一仕様とされていたのは住民基本台帳のみなので、今回の法案によって大きく拡大がはかられます。

1.システム統一で何が変わる?

①住民の利便性向上

自治体間のフォーマット統一が実現すれば、行政サービスの迅速化がはかられます。待ち時間が少なくなるので、住民の利便性向上が実現するでしょう。

現在、住民票や転出証明書の様式は様々です。自治体によって縦横の向きや項目の記載順、旧姓欄の有無など異なります。業務によっては、機械で自動的に処理することができず、職員が手入力し確認することもあるといいます。

住民票や転出・転入証明書のシステムが統一されれば、職員の確認作業を省くことができ、よりも迅速な手続きが実現するのです。

②行政運営の効率化

行政システムを統一することで、行政運営の効率化をもたらしてくれます。先程も述べた通り、確認や入力といった人為的な作業がなくなるためです。人の手による工程が含まれると、どうしても誤入力や確認漏れなど人為的なミスが発生します。特別定額給付金の事例でも、システムがバラバラゆえに給付に遅れが生じました。効率的な行政運営の実現には、システム統一が有効でしょう。

③コスト低減

システム統一化により人為的な作業が減ればその分人を雇う必要がなくなります。よって、人件費の節約にもつながります。公的部門に限らず、人件費は団体運営の上で大きなウエイトを占める費用です。

自治体の人件費を削減できれば、浮いた税金を他の用途に使用することができるでしょう。

2.統一するシステムの基準策定までのプロセスは?

どのシステムを統一するかどうかは政令で定めると先述しました。統一するシステムの基準策定までは以下の3ステップを踏みます。

ステップ①国が基本方針を策定

まずは国が地方公共団体の情報システムの標準化に関する基本方針を策定します。基本方針作成の際、国は自治体の意見もヒアリングしなくてはいけません。

内閣総理大臣や総務大臣、所管大臣が関係行政機関の長に聴取する必要があります。加えて知事会や市長会、町村会等の意見も聞いた上で方針案を作成します。

ステップ②閣議の決定を求める

作成した基本方針は、閣議の決定を求める必要があります。閣議は内閣総理大臣とその他の国務大臣で構成され、総理大臣や所管大臣の恣意的な判断に陥らないように議題案件について全員一致で決定が行われます。

ステップ③所管大臣がシステム標準化の基準を政令で策定

閣議を通過した後は、システム標準化のために満たすべき基準を所管大臣が政令で定めます。この際、政府は自治体の意見を聴くための措置をとらなければなりません。

その後、各自治体が政令の内容に遵守したシステム構築をはかるという流れです。なお、国は、自治体のシステム構築にあたって必要な財政措置を講ずるよう努めなければならないと規定されています。

統一システムに各自治体は納得するのか?

一方、懸念点もあります。

まず、予算や作業面での自治体の負担が大きくなる恐れがあります。今まで独自で改修してきたシステムを抜本的に変更する労力や手間は甚大なものです。それに自治体にはシステムに関する専門的知識を持つ人材が不足しています。実施にかかる負担の大きさから、自治体側から不満の声が上がる恐れもあるでしょう。

また、都市部と地方の自治体のシステムを画一的に統一すると、余計なコストが発生するのでは?との疑問も出ています。大きな自治体にとっては必要な項目でも、小規模の自治体にとっては必要のない場合があるためです。

さらに、そもそも憲法では地方自治が定められているので、地方のシステム改修に対し国の関与がどこまで認められるかという問題もあります。情報漏洩のリスクも考慮すると、課題は山積している状況です。


まとめ:しっかりと自治体の意見を汲んだ上で基準策定を

現在独自のものを使用している自治体システムを、国指定のシステムに統一させることが目的の「地方公共団体情報システムの標準化法案」。住民の利便性の向上や行政運営の効率化などメリットは大きいですが、以下のような問題を抱えているのも事実です。

  • 予算や作業面でのシステム変更に対する自治体の負担が大きい
  • 憲法の地方自治の規定との兼ね合い
  • 情報漏洩のリスクをどう解決するか

このような不安を払拭するためにも政府は自治体からの声を吸い上げ、政策に反映していく必要があるでしょう。

みなさんは本法案に賛成ですか?反対ですか?


参考

朝日新聞デジタル 自治体のシステム統一できる?菅首相肝いりも課題は多く

最新の賛成コメント

@もも

2021/05/02

ゆっくり時間を掛けてでいいので、ぜひ統一していって欲しいです。最初はどうしても導入コストと時間が大幅に掛かってしまうと思いますが、今後も機能など色々更新していくことを考えると、統一されている方が便利で合理的だと思います。

最新の反対コメント

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@もも

2021/05/02

ゆっくり時間を掛けてでいいので、ぜひ統一していって欲しいです。最初はどうしても導入コストと時間が大幅に掛かってしまうと思いますが、今後も機能など色々更新していくことを考えると、統一されている方が便利で合理的だと思います。

@なんたん

2021/04/09

始めが大変だとは思いますが、統一したシステムのほうが地方自治体間の情報統一もやりやすいと思います。 各自治体でシステムが違うということに驚きでした。

@rolling893

2021/03/23

基本的にはシステムが統一された方がよいと思うので、ある程度の規模の自治体は国主導で進めていってほしいです。ただ過疎化が進んだ地域では住民側がデジタル環境に追いついていない面があり、一律に適用するのは不合理だと思います。

@TONOさん3号

2021/03/19

各自治体は特に地方などは今のシステムを運用するので精いっぱいです。 資金の面も技術の面も人員もです。 統一したシステムへ国が指導(運用までしてもよいと思う)するべき。 遅れれば更にコストがかかる事になると思われるので早く進める方がよい。どんなことにも不備はあるので改修しながら進めればよいと思う。

@ichi369

2021/03/19

システムの統一は基本的に賛成ですが、コスト面とセキュリティ面で、本当に費用対効果が見込めるのか疑問です。政府自体のデジタル化が遅れていることを考えると、システムの統一化は前途多難で、時間とお金をかけて時代遅れのシステムを構築するようなことがないようにしてもらいたいです。

@だるばーど

2021/03/16

賛成です。先進国であるにも関わらず日本のデジタル化の遅れは深刻です。その皺寄せが給付金など本来時間をかけずに行われるべき政策の遅れにきているように思います。自治体にまかせていたらずっと変わらないところもあると思うので、統一して利便性を高めて欲しいです。

 詳細情報

議案件名 :地方公共団体情報システムの標準化に関する法律案 
提出国会回次 :204
議案番号 :31
議案種類 :閣法
提出者 : 内閣
提出日 :2021年2月9日
公布日 :
法律番号 :