福島県は東電原発事故以降、一部国費を投じて事故当時18歳以下を対象に甲状腺検査を実施している。しかし年々受診が減っていく「受診率低下問題」と検査結果の全体把握ができない「経過観察等問題」のため適正な検査結果を得ることが難しくなっている。2018年度の甲状腺検査の開始にさいして政府は正確な検査結果取…
福島県は東電原発事故以降、一部国費を投じて事故当時18歳以下を対象に甲状腺検査を実施している。しかし年々受診が減っていく「受診率低下問題」と検査結果の全体把握ができない「経過観察等問題」のため適正な検査結果を得ることが難しくなっている。2018年度の甲状腺検査の開始にさいして政府は正確な検査結果取得のために、長期にわたって全ての検査結果を追跡し把握する仕組みを検討するべきではないだろうか。
チェルノブイリの経験から、小児の甲状腺がんの増加を想定した長期観察を目的に調査を3次にわたり行ってきた。2017年に祖父江大阪大学大学院教授が甲状腺被害を最小限にすることと、放射線と小児の甲状腺がんの関係の評価を提案した。国費を投じる中で、政府はこの提案についてどう考えているのか。
甲状腺検査の為の国費および東京電力の拠出額は、初年から2017年度までの各年それぞれ予算額ベースでいくらなのか。またその額は福島県立医科大学への検査委託の金額と異なるのか。
なお「甲状腺検査評価部会」委員会に参加している環境省の環境保健部長は「受診率低下問題」と「経過観察等問題」の解決にむけてどのような役割を果たしているのか。
調査通知のうち1万9千通が宛先不在で届かず「受診率低下問題」につながっている。調査通知は住民票データの提供を県から受けた県立医科大学が発送しているが、住所情報の更新も医科大学が呼び掛けている状態である。そもそも今回の調査は、原子力政策を進めてきた国が主体的にかかわるべきであり、震災後に成立した子供被災者支援法にもその旨が明記されている。「受診率低下問題」の対応について、国として取りうる手段を真摯に検討するべきではないか。
「経過観察等問題」については、国民皆保険およびレセプト電算化政策による情報活用により、検査対象者33万6640人全員の甲状腺がんの摘出手術数の把握が可能となるのではないか。
そもそも検査の実効性確保には、検査対象を長期追跡する仕組みが必要となる。国は事故時に居住等していた住民の健康管理に資する手帳の発行や保険証記載の仕組みを作り、長期にわたる全件調査を可能にするべきではないか。
政府は福島県に原子力被災者等の健康管理・調査事業を行う為の交付金を支出しており、同県は県民健康調査の一部として、東電原発事故当時概ね18歳以下だった住民に対し甲状腺検査を実施している。
政府は福島県民健康管理基金に961億6440万円を交付し、東京電力は250憶円を拠出している。そのうち甲状腺検査の実施を含む県民健康調査事業への支出額は以下のとおりであるが、甲状腺検査に対する支出と福島県立医科大学への検査委託の総額については把握していない。
なお環境保健部長は県民健康調査の実施方法・進捗管理及び評価・その他の必要事項に関して知見の範囲内で助言を行っている。
2011年:27憶2545万6096円
2012年:35憶1794万8785円
2013年:28億8909万5955円
2014年:32億1321万6327円
2015年:33億532万7549円
2016年:34億5378万6738円
福島県は親元を離れる高等学校卒業予定者等に検査の目的・意義を理解してもらう啓発活動を行ったり、住所変更については「甲状腺通信」に住所変更ハガキを同封しているほか、電話やホームページで手続きが行えるようにしている。また検査案内が返礼された場合は住所移転状況の確認を行い、対象者に確実に案内が届くよう努めており、政府としても引き続き同県に支援を行っていく。
事故の健康調査の実施には医学等の専門家の意見が重要であり、福島県は委員会の意見をふまえて県民健康調査を実施しており、政府は委員会の議論を注視していきたい。
@restog
2021/04/13
少しでも被爆の恐れがある人(震災当時の住民票がある人など)に対しては、広く受診を促していく必要があると思う。
質問主意書名 : | 東京電力原子力事故後に行われている甲状腺検査に関する質問主意書 |
提出先 : | 衆議院 |
提出国会回次 : | 196 |
提出番号 : | 8 |
提出日 : | 2018年1月22日 |
転送日 : | 2018年1月24日 |
答弁書受領日 : | 2018年1月30日 |