奄美大島における大型クルーズ船寄港地開発による社会環境への影響に関する再質問主意書

提出議員 : 川田 龍平

国際自然保護連合(IUCN)の勧告を受けて2018年6月1日に世界遺産登録への推薦を取り下げた、奄美大島、徳之島、沖縄島北部及び西表島について、政府は2020年の登録を目指しているとの報道があった。IUCNは勧告の中で日本に観光地利用の対策を求めているが、国土交通省主導で検討している大型クルーズ船…

国際自然保護連合(IUCN)の勧告を受けて2018年6月1日に世界遺産登録への推薦を取り下げた、奄美大島、徳之島、沖縄島北部及び西表島について、政府は2020年の登録を目指しているとの報道があった。IUCNは勧告の中で日本に観光地利用の対策を求めているが、国土交通省主導で検討している大型クルーズ船の寄港地開発は、それらの対策が不十分なまますすめられているという指摘もある。持続可能な観光政策に対する議論が深まっている中、政府はどのように対応していくのだろうか。

  • IUCNの勧告に十分対応できていないと思われるが、それでも政府は当該地域の2020年の世界自然遺産への登録を目指しているのか。また、勧告にある観光利用の際の管理計画についてはどのように対応を行うのか。過去答弁において、地理的連続性の欠如(推薦地域が地理的に点在していること)については回答する一方で観光利用の管理については何故回答を避けるのか。
    なお、西表島での観光客の増加による自然環境への影響について環境省はどのように考えているのか。

  • 奄美大島への大型クルーズ船の寄港地開発について、IUCNは認識をしておらず、評価書にもそのような企画はない旨記述をしている。他方政府は、地元自治体と連営して開発を検討する旨の答弁を前回行った。政府は同寄港地開発を行うのか。
    なお、政府は奄美大島が大型クルーズ船の受け入れ可能な人口を有していると考えているのか。また、環境省は本開発が自然環境に与える影響について分析は行わないのか。 特に本寄港計画により国内外の外来生物の非意図的導入など、奄美大島以外の推薦地域にも間接的に悪影響を与えるとは考えないのか。

  • IUCN が評価した観光利用と自然遺産の保全の調和の考え方を基本理念として国土交通省が作成した「持続可能な観光政策のあり方に関する調査研究」を、政府は世界自然遺産登録地の持続可能な観光政策に採用するべきではないか。
    また、環境省はWWFのBPAマップによって寄港地のほとんどの地点が生物多様性優先保全地域または重要地域に含まれている点をどのように認識しているのか。

  • 政府はIUCNの延期の勧告を受けて本件世界自然遺産登録の推薦を2018年6月1日に取り下げたが、勧告理由を踏まえ早期の登録をめざしている。
    観光利用の管理は奄美大島での自然観察ルールの構築や当該ルールの観光局への普及啓発等を行う施設整備の検討を行っているが、クルーズ船の寄港地開発については現時点で具体的な計画がなく今後の対応を回答することは困難である。
    西表島については、一部河川でのカヌーの混雑が発生していることを政府として把握している。
    なお評価書に記載された指摘は延期勧告の理由(先の答弁書で回答済)ではなく、推薦国への対応要請との認識である。

  • 政府は奄美大島へのクルーズ船の寄港地開発の計画を把握していない。寄港地開発は各地元自治体で判断されるべきで、開発決定時には政府は当該寄港地開発について地元自治体と連携し検討する。また政府としては奄美大島は大型クルーズ船の受け入れが可能な人口を有していると考えている。
    なお、本開発が自然環境に与える影響についての分析は、今後寄港地開発が具体化された際状況に応じて実施するべきである。なお、一般論として外来生物の非意図的導入に関して、政府はクルーズ船での来訪者が他の手段での来訪者と比べて自然環境に悪影響をおよぼす可能性が高いとは考えていない。

  • 国土交通省がまとめた調査研究は個別具体の観光政策のためではなく、今後望まれる持続可能な観光政策のあり方を検討してもらうためのものである。なお、BPAマップについては前回答弁書で回答しているとおりであるが、クルーズ船の寄港地開発には、考慮すべき様々な要素があると考えている。

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 詳細情報

質問主意書名 :奄美大島における大型クルーズ船寄港地開発による社会環境への影響に関する再質問主意書 
提出先 :参議院
提出国会回次 :196
提出番号 :163
提出日 :2018年7月5日
転送日 :2018年7月9日
答弁書受領日 :2018年7月13日

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