新型コロナウイルスの感染拡大が、就職活動にも大きな影響を与えている。加藤厚生労働大臣は5月22日の会見で、解雇や雇止め件数累計が1万835名と1万件を超えたと語った。
内定を取消されてしまう学生、これまでとは違う勤務体制を強いられている新社会人、対応に追われる企業、双方に支援が必要な状態である。政府はすぐに対策を講じるべきではないだろうか。
2019年度新卒者の中には内定を取り消されたり、入社後一度も出社することなく自宅待機を余儀なくされている者もいる。新卒者を取り巻く厳しい状況を踏まえ、丸山穂高議員は次のように質問を始めた。
試用期間中の内定取消や入社取消の強要、労働基準法の理解不足から発生する企業側の不適切な対応などの問題を明らかにし、政府が何らかの支援および対処をすべきではないか。また、東京都、神戸市、群馬県桐生市、千葉県成田市、大阪府豊中市など、内定取消者を対象に臨時採用を行っている地方自治体のような取り組みを政府もできないのか。
答弁:政府は内定取り消し数や内定期間延長数を把握しており、雇用調整助成金の要件緩和と活用を企業に周知しながら雇用の維持に努めている。労働基準法26条により、企業事由での休業の場合、平均賃金の6割以上の休業手当を支払うことが義務付けられているため、規定違反時には手当を支払うよう監督指導している。
内定取消者を積極的採用する企業をはじめとする求人紹介を行いながら、各府省の非常勤職員採用情報も提供している。雇用者に対する労働基準機関の監督と指導を引き続き行い、若年者にむけた労働関係法令や社会保障制度に関する教育を推進していきたい。
続いて丸山議員が質問したのは、現在まさに就職活動中の学生に関する質問だ。
2020年度大学卒業予定者の採用選考活動開始日が6月1日以降となり、例年より期間が短い。中小企業ではウェブでの企業説明や面談が困難となることも予想される。政府として支援は行うのか。
答弁:政府から日本経済団体連合会などに対して様々な通信手段を活用することを要請している。ウェブ企業説明会やウェブ面談への支援は必要に応じて検討していく。
短期間で大量な一括新卒採用の是非についても触れていた議員の最後の質問は、高校生の就職活動について。高卒生の内定率は毎年7割台を推移している厳しい状況であり、地方格差も大きい。より配慮が求められる高卒生の採用スケジュール再考について見解を求めた。
高等学校卒業予定者のハローワークによる求人申込書の受付開始は6月1日以降とされた。スケジュールを再考すべきではないか。
答弁:令和2年度の高等学校卒業予定者に対する採用選考期日のスケジュールを変更する予定はない。求人申込受付開始6月1日、学校から企業への応募書類委提出開始9月5日(沖縄県のみ8月30日)、内定開始日を9月16日としている。(※注1)
外出自粛期間を経て一旦は収束が見えた新型コロナウィルスだったが、7月29日の全国感染者数は1264人に上り、まさに第2派が懸念される事態となってしまっている。解雇や雇い止めされた人が4万人を超えた(※注2)と厚生労働省は調査結果を公表し、雇用不安が広がっている。就職氷河期の再来とならぬよう、雇用政策も含めて臨時国会で議論する必要があるのではないか。
注1:この答弁ではスケジュールに変更がないとの回答だったが、令和2年6月11日に厚生労働省から採用選考スケジュールを変更すると発表された。「令和3年3月新規高等学校卒業者の就職に係る採用選考開始期日等の変更について」
注2:ハローワークと労働局からの報告数で、1月末から7月29日の期間での見込みを含む。
@kimuu
2020/07/30
2020年~2022年卒の学生は時代の被害者になってしまいそうですよね。生まれるタイミングで格差があるなんてかわいそうすぎます。現状の助成金では就活生は守ってもらえないので、新たな策を求めます。
質問主意書名 : | 新型コロナウイルス感染症による就職活動等への影響に関する質問主意書 |
提出先 : | 衆議院 |
提出国会回次 : | 201 |
提出番号 : | 192 |
提出日 : | 2020年5月8日 |
転送日 : | 2020年5月13日 |
答弁書受領日 : | 2020年5月19日 |