IT基本法はIT(情報技術)を活用した社会を形成するための基本方針をとりまとめた法律です。2001年に施行され、正式名称は「高度情報通信ネットワーク社会形成基本法」です。
IT基本法が施行されて20年になりますが、当初の想定通りにはIT化・デジタル化が進んだとは言えません。
IT基本法をもとに当時の森首相が推進した、eーjapan戦略では「2005年に世界最先端のIT国家になる」との目標が立てられましたが、志半ばで森首相は退陣し、小泉首相に引き継がれたもののネットバブルの崩壊もあり、徐々に推進力は失われていきました。
特にデジタル化が遅れている領域と言えば、行政サービスの分野です。直近で言えば新型コロナウイルス対策で打ち出された10万円の定額給付金の手続きに時間がかかったことが、行政のデジタル化の遅れを如実に示しています。国のシステムと自治体のシステムが異なることからオンライン上での連携がとれず、データの照合・確認作業に時間を要したのです。
またオンライン上の申請において本人確認書類に使われるマイナンバーカードの普及率も現状23%程度と普及したとは言えない状況です。マイナンバーカードがないために行政手続きの電子申請ができない人も多く、マイナンバーカードの普及率の低さは行政のデジタル化の遅れの一因と言えなくはありません。
新型コロナウイルスの影響も手伝い、行政のデジタル化は国を挙げて取り組むべき急務と化しました。政府は重い腰を上げて20年もの間大きな改正が行われていなかったIT基本法にメスを入れようとしています。
2020年11月、IT基本法改正案の骨子がとりまとめられました。骨子ではすべての国民が公平・有用・安心な情報にアクセスできる環境を整え、民間が国民の多様なニーズに配慮したサービスの提供に努め、行政が環境の構築をサポートするとあります。
現代はインターネットが発展し、検索エンジンに調べたいキーワードを入力すれば、簡単に答えが出てくる時代となりました。しかし全ての人が安心してネット上で情報が入手できる環境課と言えばそうではなく、特にご高齢の方は思うようにインターネットが使いこなせず、情報が接種できない状態に陥りがちです。またネットリテラシーがないために、ネット上での詐欺被害(フィッシング被害等)に遭ってしまう人もいます。
今回のIT基本法改正ではこうした人も含め「誰一人取り残さない」デジタル環境を構築することが目標です。まだ骨組みの段階なので詳細はつめられていない部分も多いですが、行政サービスのクオリティ向上・データ環境整備など重点的・迅速に取り組む必要がある施策については、目標・達成期間を明記した重点計画を策定するとあります。
IT基本法改正の検討の方向性(案)によるとマイナンバーカードとの連携に関しては、マイナンバーカードによるオンライン投票を可能とし高齢者や身体障害者へ配慮するという案が出ています。
また国民がデジタル政策やデジタルテクノロジーを考えるきっかけ作りのために「デジタルの日」を定め、そのフラッグシップ・プロジェクトにマイナンバーカードを使った国民参加型の取り組みを行い、同カードの普及率を挙げるというアイデアも出たようです。
そしてサイバーセキュリティ基本法との兼ね合いでは、第24条に示された国際協力の推進等の実現のため、安全・安定したグローバルサイバー空間を維持・推進・発展を目指し、国際社会の先陣的な役割を担うと述べられています。
IT基本法の改正やデジタル庁の創設により、国民の利便性は確かに高まるでしょう。しかし、その分セキュリティ上の不安も大きくなります。ハッキングやフィッシング詐欺などのリスクをどう軽減するのかという点も、今後具体化した内容が盛り込まれる必要があるでしょう。また、収集されたデータがどのような枠組みの中で管理され利用されるのか、その点も留意が必要です。
皆さんはこのような改正の動きについてどうお考えでしょうか?
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@もも
2021/06/14
最近では、コロナワクチンの予約・接種が他国に比べ時間が掛かりすぎているのもデジタル化が遅れている証拠だと思います。日本では色々な手続きに余計な手間が掛かりすぎていると思うので、コロナウイルス関連で明らかになった問題点を踏まえ、手続きなどはどんどんデジタル化していって欲しいです。
提出 : 内閣
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